こんぺいとう (ページ45)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:11,991 hit

。ページ45

籠いっぱいに新鮮な野菜を詰め込み家に帰れば、キッチンからいい匂いが漂ってきた。

おば｢おじいさんも亮もありがとうね。もうご飯できるから、みんなを起こして来てくれる？」

山｢分かった。じゃ、これここ置いとくから」

籠を机の上に置き、みんなを起こしに行くため足を向けた。

＊＊＊＊

最後は桜井か。

起こすだけなのに無駄に疲れた体に鞭をうち部屋に向かう。

一番疲れたのは悠太だな…揺すっても起きないわ大声を出しても起きないわ。

しまいには寝ぼけて抱き着いてくるわ…。

まあ、悠太の寝起きが酷いのは昔っからだけどな。

その次は母さんだな。

すぐ起きてくれるのはいいんだけど、寝起きは無駄にベタベタしてくるから…。

山｢桜井ー、起きてるかー」

一応部屋に入る前に声をかける。

少し待っても返事はないから、まだ寝ているんだろう。

山｢入るぞー…」

そっと襖を開け、部屋を覗く。

部屋の中央に敷いてある布団から、金色の頭がぴょこんと飛び出している。

桜井は寝相良いんだな…。

そっと音を立てないように部屋に入り、桜井の顔を覗きこむ。

山｢おい、もう朝だ、ぞ……」

…え、

顔を覗きこんだ姿勢のまま、思わず固まってしまう。

＿泣い、てた…？

長い睫毛が影を差す閉じた目の縁は、赤くなっていた。

何度も、擦ったんだろうか。

そっと手を伸ばして、親指の腹で目の下をなぞる。

白すぎる肌に目の縁の赤は痛々しく生え、目の前の桜井がとても儚く見える。

｢ん……」

その時、ふいに桜井が身動ぎし、ゆっくりと瞼が持ち上がった。