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「あっちー…」
流れ出る汗を拭いながら、爛々と光る太陽を仰いだ。
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つばの広い帽子と籠を持たされ、じいちゃんに着いて行けば着いたのは畑。
そこで今俺は、野菜を収穫していた。
ばあちゃん…これ結構大変…。
きゅうりやトマト、茄子やトウモロコシを籠に入れながら汗を拭う。
暑い…これだから夏は……。
若い頃は夏休みだー!って夏でも喜んだものだけどなあ…。
今じゃもうただ暑いだけだからなあ。
野菜のツルで太陽の光を遮りながら茎を切っていれば、ふいにじいちゃんの声がした。
「涼介ー!ちょっと休憩するかー!」
じいちゃんの声に、嬉々として頷いた。
じい「仕事ははかどってるか?」
じいちゃんがそう言った。
山「うん。でもやっぱ教師って大変だよ」
今いるとこはちょいと特殊だしな…
でもまあ、みんな可愛い教え子って事には変わりない。
おじ「そうか…親子揃って教師になるとはなあ」
小麦色に焼けた顔から白い歯を覗かせ笑うじいちゃん。
山「まあ…父さんに憧れて教師目指したからね…」
もう亡くなっちゃったけど、生前の父さんは高校の先生をしていた。
生徒に好かれる、いい先生だったらしい。
父さんの葬式には、元教え子だったり生徒がたくさん来ていて、みんなが皆父さんの為に泣いていた。
それを見て、俺も父さんみたいな先生になりたいと思ったんだ。
おじ「がんばれよ、涼介」
日に焼けた、皺くちゃの大きな手が俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
その手にふと父さんを思い出して、思わず目頭が熱くなった。
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作者名:名無し64299号 | 作成日時:2019年2月7日 4時