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山田涼介side
微睡みの中から意識が浮上し、目が覚める。
「いってぇ……」
頭ががんがんと痛む。
昨日の記憶があやふやで、また飲み過ぎたことを悟る。
俺自身あんまり酒は強くないから飲み過ぎないようにしようっていっつも思ってはいるんだけどな…まあ大人にはいろいろ事情があるんだよ、うん。
ベッドから起き上がって、取り敢えず水を飲もうとフラフラの身体で部屋を出た。
まだ夜明け前だからか、家の中はシンとしている。
廊下を歩く音だけが、辺りに響く。
台所に着き、冷蔵庫から水を取り出してコップに注ぐ。
コップの中の水を一気に飲み干して、ぷはっと息を吐いたその時、こちらに向かってくる足音が聞こえた。
おば「あら、おはよう亮。早いのねえ」
台所に姿を現したのは、ばあちゃんだった。
ニコニコといつもの笑顔を浮かべるばあちゃんを見ていれば、俺も自然と顔に笑顔が浮かんだ。
山「おはようばあちゃん。ばあちゃんこそ朝早いんだな」
おば「年寄りの朝は早いんですよ。それに、早起きは三文の得って言うでしょう?」
山「ああ、うん確かに。でも俺朝は苦手…」
おば「あら……まあ、歳をとっていけば自然と早寝早起きの習慣が付くわ。嫌でもね」
山「そんなもんかなあ」
おば「そんなもんですよ。じゃあ、私はご飯の支度をしないと…」
山「手伝おっか?」
おば「いや…あ、じゃあ、おじいさんを手伝ってくれる?」
柔らかく微笑むばあちゃんに、俺はなんの疑いもなく頷いた。
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作者名:名無し64299号 | 作成日時:2019年2月7日 4時