『ひゃくろく。』 ページ12
探すにしてもどこからにしようかな。
とりあえずグレイターミナルまで来てみたものの、兵士が多すぎて大っぴらに探すことも難しそうだ。
壁の向こうで歓声が上がっているのが聞こえる。そういえば今日来るんだっけか。天竜人。
『…ちょっと見学するくらいなら良いか。』
兵士の目を盗んで門をくぐり、この前ドラゴンと話した場所までたどり着いた。
人が多すぎて見えたもんじゃねぇし、かと言って高い所に登れば不審者であることがバレる。
人混みの中に入り込んで少しずつ前に進み、20分ほどかけてようやく船着場の近くに着いた。最前列とはいかないが、頑張れば見えないこともない。
『さて…。』
広い海の向こうから視察をする為にやってくるという天竜人サマはまだかな。まだ小さいもんだな。
『ん？あれ何だ？』
海の上にポツンと浮かぶ小舟が、前にいる奴らの間から見えた。港にいた他の人達も気付いたのかザワザワし始めた。
「おいおい、誰か船を出してるぞ！？」
「コラ戻れ〜〜！！！式典の邪魔になるぞー！」
「漁船か！？子供が乗ってるぞ！！」
「……！子供ォ〜〜！？」
「一体どこのウチの子だァ！！？」
耳を澄まして聞いてみると口々にそんなことを言っている。体を捻って海の方をよく見てみると黒い旗が掲げられているのが見えた。
「ありゃおれの船だ。漁船を盗まれた」
「黒い旗を掲げてる。海賊にでもなったつもりか？」
「…バカな！子供一人で海賊？」
「もうすぐ世界政府の船がくる。とにかく式典の邪魔だ！」
子供1人で、黒い旗を掲げて海賊気取り、か。
まさか、な。
天竜人の船がだんだんと大きくなっていく。
お互いの船がゆっくりとすれ違う。巻き込まれないようにオールを動かしているのが見えた。
その瞬間だった。
ドオン……ッ！！！！
小舟に集中していて気が付かなかったが、天竜人の船に乗っていた奴が小舟を狙撃したようだった。
「漁船が撃たれた！！」
「子供は無事か！！？」
「天竜人の気に触ったんだ！」
ゆっくりと、確実にざわめきが広がっていく。砲弾は小舟に命中し、半壊しかけた船から炎が上がり始めている。
動く人影が見えるので死んではいないようだ。
ドオン……！！！
生存が分かり安心していると、もう一度砲撃音が響いた。砲撃が当たった小舟は黒煙を上げた。
爆発の後には木の残骸が残っているだけだった。
『うそ、だろ…。』
これほど簡単に、船が沈んで、人が死んでも良いのかよ？
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インドア女子(プロフ) - ありがとうございますぅぅぅ！！！色々ありましてしばらく更新をお休みしていました！！お正月までには4まで仕上げて投稿する予定です！！頑張ります！ (2020年12月6日 17時) (
レス) id: 5407537a6f (このIDを非表示/違反報告)
サヤ(プロフ) - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2020年11月23日 1時) (レス) id: 4f60a72d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：インドア女子 | 作成日時：2020年2月2日 12時
