ワンピの世界に転生した女子のよくある話 PART１ (ページ5)

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『いち。』ページ5

「A！A！大丈夫？」

『へ？…あ、うん。大丈夫。』

あ、そうか。転んで頭を打って、やっと全部思い出した。俺、転生したんだ。それでフラッシュバックしたんだな。

「もう、急に走り出したと思ったら、つまずいて転ぶなんて、Aはかわいいわね。」

『やめてよ、母さん。』

心配そうにしていたかと思えばニコニコと親バカを発動して俺の白くて細い髪を撫でてくる彼女は、義母であるノエルだ。

俺の親は、産んですぐに手放したくなった鬼畜で、今いるこのクラン島の一番偉い人たちである。

まぁ、王様の子供にアルビノが生まれたら民衆から嫌われるだろうってことは想像がつく。許す気は無いけど。

「日が暮れてきたから、もうそろそろ帰りましょうか。晩御飯も作らないと。」

『うん！』

アルビノの俺でも普通に日光浴びて健康体なのは、きっと黒兎のいう生まれた時からのプレゼントなのだろう。それがなかったら、ガンとか目の病気とかなりまくりだろうし。

昨日までと同じように接しながら、義母とともに帰路を辿った。

俺とノエルの家は、ひっそりとした山の中にあり、2人で自給自足の日々を過ごしている。去年、ノエルに連れられて山頂付近まで登ってみたが、この島がかなり広いことがわかった。

『ねぇ、なんで誰とも会ったことがないの？』

山頂まで登った日の帰りに、ふとノエルに質問したことを思い出した。あの日、家をたくさん見て驚いたのだ。この島にいるのが2人だけで無人島だと思っていたから。

まぁ、思い出した今となっては、アホみたいだが。

「Aがいい子にしてたら教えてあげる。大きくなって、たくさん考えられるようになったら。」

『分かった！』

もう分かったのでいいんだけども。そんなことを話した。

『うわっ！？』

ふわふわとそんなことを考えながら歩いていたものだから、出ていた木の根につまずいてしまった。今日取ったエモノは地面についていないようなので安心しつつ、立ち上がった。

「またこけたの？今日は1人で狩りができるようになった記念の日なのに。ふふふ。そんなところもかわいいわねぇ。」

『もう！母さんってば！茶化さないでよ！』

むくれつつ、自力で仕留めたキジを見て、少し嬉しくなった。明らかに猟師の子供のようになってしまっているが、ノエルは元メイドである。

生まれてすぐのこともなんとなく思い出せるのだから不思議であるが、転生したての俺を初めて抱っこしたのはノエルに他ならない。