食事と前奏 ページ13
吉良が来てからというもの、毎日食事をとるようになった。吉良は人間故、放っておくと餓死するからだ。
そして何故かA、カーズ、DIOの分まで作ってくれる。頼んでもないのに。
「……吉良は料理が上手いな」
「Aは作らないのか?」
「作ったことはあるが……味覚が違いすぎて皆からは不評だった」
「だろうな」
「あいつらはあいつらで勝手に狩って食うから尚更な
しかし私達の分まで作らなくてもいいのに」
「1人で食べるより皆で食べた方が美味く感じるんだ
付き合ってくれ」
吉良が食材を切っている隣で、カーズとDIOが興味津々に見ている。
「今日は何の料理なんだ?」
「これをどうするんだ?」
「うるさい。もう少しでできるから、あっち行ってなさい」
「「はーい」」
(扱いが手練てきたな……)
「追い出されてやーんの」
「うるせ」
「暇だな、料理ができるまで」
.
「よし、でき……ん?」
今まで料理に夢中で聞こえていなかったが
微かに楽器の音が聞こえる。ピアノと三味線とチェロの音色だ。
リビングの方向から聞こえる。キッチンの隣なので、ドアを開けてみる。
「……なんだこれ……」
ホテルのダンスホールのような場所に出た。その真ん中でAがグランドピアノを、カーズがチェロを、そして見なれない人型の何かが三味線を弾いていた。
吉良に気付いたDIOが、手招きをする。静かに近寄り、DIOの隣に座る。
「なんだこれは」
「暇だから」
「……あの、三味線を弾いてるのは……?」
「『九尾』だ
尾が九つある狐……森で毎日三味線弾いてる奴だ
……しかしAがピアノを弾けるなど、知らなかった」
「私はカーズがチェロを弾けることに驚いたな」
「触るのは初めてらしいぞ」
「究極補正か、なるほど」
何と心地良い音色なのだろう。このまま眠ってしまいたいほど3人の奏でる音は優しく穏やかで、普段の素行では考えもつかないほど美しい音色だ。
「吉良は何か楽器は?」
「ヴァイオリンを少し
……だがこんなに美しい音色は出せない」
「へぇ
それもそれで意外だ……吉良がヴァイオリンか
んふふ……面白い」
「……ちなみに3人が弾いてるこれはなんという曲なんだ?」
「3人とも即興で弾いてる
二度と再現できない、これきりの音楽だ」
「……それは、随分と貴重な物を貰ったな……
ご飯できたけど後にするか」
「「「今食う」」」
「うわぁ急に止めるな……」
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(名前)山葵(プロフ) - この小説と作者さんにに感謝 (2022年4月7日 18時) (レス) @page50 id: 5816bc8f92 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き - 番外編も楽しく読ませていただきました。こんなに面白い作品に出会えて良かったです。本当にありがとうございました。 (2021年5月20日 9時) (レス) id: 640a457bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:1匹のメタリカ | 作成日時:2020年10月31日 9時