▽Anotherstory ページ8
「アイツ、大丈夫かよ」
AAを乗せた新幹線を見詰めながら高専の生徒、禅院真希は、心配そうに呟いた。
彼女が心配するのも無理もない。
出発直前まで駄々を捏ねていたのだから。
早く行けと言いながら送り出したものの、居なくなると急に寂しくなってくる。
それは他の2人も同じだった。
「大丈夫だろ、Aならうまくやれる。俺たちはそう信じてるからな」
「しゃけ」
心配している真希を励ますように、2人は声を出す。
こんなことを言っているが、やはり心配なものは心配だ。ここでどれだけ心配しようと、彼女に伝わる訳でもないが。
「ツナツナ、いくら」
「おっ、そうだな〜棘。もしAが帰って来たら、蹴ってまた追い出そうな」
おにぎりの具しか話せない狗巻棘は、蹴りのポーズを取りながら具を紡ぐ。
その意図が伝わったのか、パンダはもふもふの体を動かし同じようなポーズをした。
言っていることが鬼畜だが、これも全てAの為。
彼女への愛情なのだ。
一番心配をしていた真希も、最終的には2人に乗っかり「いいなそれ」なんて言い出した。
彼女を信じ、彼女が帰ってくるのを待とう。
そして、帰って来たら、皆でまた楽しく話をしよう。
どうかその日まで、生きていて。
***
仲間の元から旅立って1週間。
兵庫に身を置いているAの元に、ある大きな荷物が届いた。
「おっきいダンボールが二つ ……」
学校から帰って来ると玄関に置いてあった大きなダンボール。
教材の入った鞄を置き、ダンボールを家に入れて考え始めた。
差出人は狗巻棘。
仲間からの贈り物であるのには違いない。
通常なら喜んでいる場面……だが私は喜ばない。
差出人が狗巻棘だ、棘。
悪ノリ大好きなアイツのことだし、何か仕掛けがあるに決まっている。
「…このまんまにしてても邪魔だし……よし、開けるか」
ごくり。
唾を飲み込み、ゆっくりゆっくり開けていく。
完全に開かれる際、反射的に目を閉じた。
顔面にパイだけはやめてください…!!!
「……あ、れ」
何も来ない。
目を開けるとそこにあったのは、大きなパンダのぬいぐるみ。
拍子抜けだった。
棘にしては可愛いの選んできやがる、やるじゃん。
贈り物は嬉しい。嬉しい、けど……
「でっか過ぎるんだけど!?なにこのぬいぐるみー!!!」
すぐ棘に電話したのは言うまでもない。
因みにぬいぐるみはそれぞれマキ、トゲ、パンダ、ユウタと名付けた。
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - 空白さん» とてもお洒落で格好良い返信をありがとうございます。お体にを気をつけて、頑張ってください。 (2021年2月10日 15時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» 甘蜜様、有難うございます。そのお言葉を貰うために書いているようなもの…なんていうのは言い過ぎでしょうかね。貴女の為にも、頑張ります。改めて、心を込めての有難うを貴女に。 (2021年2月10日 15時) (レス) id: 0456420c7b (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空白 | 作成日時:2021年2月3日 18時