【うらたぬき】フィアンセ【あほの坂田】 (ページ1)

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｢はぁ .. 。｣

1階のフロアで踊る人たちを見ながら
俺はため息を零した

突然だが俺は外に出たことがない
あるとすれば庭くらい門の外には一度も出たことがなかった

毎日色んな先生が来て礼儀作法 , 勉強 , ファッションなど教えこまれ
自分で言うのもなんだが俺は結構ハイスペックな方だと思う。

作ろうと思えば彼女なんて簡単だ
甘い言葉で誘い込めばそこら辺の女なんてほいほいついてくるだろう

｢ .. まぁ , ンなの興味ねェからしねぇけど。｣

" 恋 " というものをした事がない
恋焦がれるってなんだろうか。好きってなんだろうか
考えれば考えるほど分からなくて
またひとつため息をついた

｢っわ .. , 大丈夫？｣

そんな俺の耳に聞こえたひとつの声
ふと目を向けるとボロ布のような服を着た女がぶつかったであろう小さい男の子を抱っこして立ち上がらせていた

｢ぶつかってごめんね , お姉ちゃん .. ｣

｢ふふ , 大丈夫だよ , ？でも , これからは気をつけてね？｣

｢っ , うん！ありがとうお姉ちゃん！｣

微笑みながら走り去る子供を見送る彼女

｢ .. ンだよ , これ .. 。｣

バクバクと心臓がうるさい
熱があるように顔が熱い

初めての体験で頭も体もついていかなかった
この気持ちがなんなのか俺にはわからないけど
勝手に足が動いて彼女の元へ向かっていた

彼女の傍で足を止めると
こちらに振り返った

｢ .. 俺はうらたぬき , なあ .. 俺のフィアンセにならねぇか？｣

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