城 ページ1
_
今日も家の小窓から城を眺める。
一人あの日のことを思い出しながら。
.
.
「早く準備なさい」
「はい。お母様」
今夜は城で年に何度かの舞踏会が行われる。
お母様とお父様は商人をやっていて、
私は裕福な暮らしをしている。
今回も、様々な国から人が集まる舞踏会で商売の話を持ち掛けに城へ出向く。
私はおまけ。
「行くわよ」
ドレスアップを終えた私はお母様とお父様が待つ馬車に乗り込んだ。
城の門の前で止まり、馬車から降りる。
「招待状をお持ちですか」
城の使いがお父様に問いかけた。
お父様は何も言わずに状を渡し、
私たちは門をくぐった。
城の中は久しぶりで、
相変わらずの広く、賑やかだ。
人それぞれが着飾ってキラキラと輝いている。
お父様とお母様は早速話しかけられて、
私は場違いな気がしてその場を離れぶらぶらすることにした。
「A」
未成年の飲酒は許されていないから美味しい料理を楽しんでいると仮面を被った人に声をかけられ、手を引かれる。
誰?
着いたのは星が夜空に綺麗に映える城の庭。
すると彼はゆっくり仮面を外し、私を見た。
「?」
「デイモン、なの?」
「あぁ。」
私に話しかけてきたこの好青年はデイモン。
小さい頃から一緒に遊んでいた。
でも最近は王子様の妹様専属の騎士をやっていて中々会えなかった。
私を見て柔らかく微笑んでいる。
「…えっと…その、久しぶり。」
「久しぶり。元気だった?」
「うん。誰かわからなかった」
彼は私の小さい頃とでは随分成長していて、
酷いなと笑っている。
「昔とは、違うものね。」
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白猫とみせかけてアルビノの黒猫 | 作成日時:2018年8月27日 22時