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あの一件から、生活はがらりと変わった。
太陽の光は己を焦がすようになり、肌は体温を失った。食事だって今まで好きだったはずのものは味すら感じない。
妙だと思ったのだ。わざわざイタリアからエジプトのカイロまで任務で赴くだなんて。
──────────
「…リズ、本当にいいの?」
「あぁ、鉄分は自分で補えるからな。
それに輸血パックの在庫が少ないらしい」
膝の上で向かい合うように座る彼女の目には心配の色が映っている。
馴染みの闇医者経由で手に入れる輸血パックはあくまで最終手段のようだし、血液中の鉄分を操作して貧血は免れるし。
彼女は頭巾を取りながら、首筋に手を添えた。まるで死人のような体温に肌が粟立つ。
彼女をこんな体質にしてしまった大元はボスだけれど、任務を代わってやれなかった自分への戒めでもあるのだ。
「ぐ、ぅ」
首筋に慣れない痛みが走り、そこからじわじわと体温が奪われていく。
「…ベル、気が済むまでやってくれ」
これは罪滅ぼしなのだから。
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