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その時、一際大きなヒビが入った。
卵の殻の中には青い鱗が見える。手伝いたいのは山々だが、何とか堪えて誕生の瞬間を待つ。
「頑張って…！」
ぱき、と殻を破って 姿を現したのは。
「え？」
「は…？」
「んん…？」
「あら、」
想像していたドラゴンではない。
背中には翼はなく、強靭な筋肉もない。
あるのは泳ぐために進化したしなやかな曲線を描く身体と、後方に伸びた小さな角、人魚であれば誰もが知っている その怪物の名は。
「リヴァイアサン…！？」
「あらあらあらあら」
ぱちぱちと眩しそうに瞬きをする小さい雛をそっと抱っこする。
「はじめまして、私がママよ」
「ぴゃー」
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