2人の日々【wt】 (ページ10)

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🦈忘物ページ10

「マジ寒っ……」

今日はたまたま、寝坊をしてコート以外の防寒具を着けるのを忘れてしまった日だった。ま、大丈夫だろとか思ってそのまんま自宅を出た自分に後悔しても後の祭りだ

彼女と少し遠出する為に、待ち合わせ場所というか、彼女－A－を迎えに行くのに電車を待っている間。息を吐いたら真っ白になるぐらいには空気は冷えているらしいということが分かった

「～買ったら間に合わねえしな……ま、大丈夫だろ」

まだ、耐えられる気温だろう。そう思って、来た電車に乗り込む。時間からして人が少なく、席はがら空きだった。手を摩って少し摩擦熱で温めつつ、みっともないかもしれないが寒さから背中を丸めて目的地のある駅に辿り着くのを待つ

「あ"～～…車内あったか…」

人は居ないが、それでも十分な程に温まっている車内。多少なりともマシになった手を出して、スマホで時間を確認する

「ギリ…間に合うか」

降りたら少し走るか。そう決めて目的地のある駅に着いた電車から降りる。Aの家までのその数分を時間に間に合わせるために走り出す

「…っはぁ…はぁ……むしろあっつ…」

元から時間はそんなに掛からない場所ではあったが、走ったからより早く着くことが出来た。その分、走って体は熱くなったが

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝとインターホンを押してから一言声をかければ

「A、俺だけど」
「…！開いてるから、しゃけ、上がって～」

？いつもならすぐ出てくんのにどうしたんだ？

そう不思議に思いつつも、言葉通り彼女の家に上がってすぐに

「しゃけ！私の部屋まで来て！」
「？いいけど」

Aの部屋のドアを開けて、どうした？と問いかければ、少し怒ったような顔をしてマフラーを持った姿が視界に入った

「もう！！ちゃんと寒さ対策してよ！風邪ひいちゃうからね！？」

と怒られながら、彼女にマフラーを巻かれた

「うおっ！？……あんがと…」
「待ち合わせ時間とかいいから、気にせず買って来ればよかったのに…」

「…Aに早く会いたかった、って理由じゃダメ？」