☺炬燵 ページ5
ああ、今日も一段と冬を感じる寒さだな
悴む手を擦りながら息を吐いて少しでも暖を取ろうとする。マフラーか手袋でも付けてくるんだったな……と少しの後悔を抱えつつ、急いで帰路を辿る
駅から歩いて10数分、やっと自宅に着いた。寒さからかいつもより長く感じたのは気の所為だろうか
彼は既に帰ってきているはずだ。きっと、寒いのが嫌な彼のことだから部屋は十二分に暖まっているだろう。もしくは、昨日出したばかりの炬燵にでも入っているだろうか
ガチャ とドアを開けて
「ただいま」
と、声をかけても返事は無い。まあ、珍しいことではないか、と自室に荷物を置いて手洗いうがいを済ませる。彼がいるであろう部屋を覗いてみれば
「…やっぱり、炬燵にいる」
今にでも寝てしまいそうなほど首をこてんと傾け、目を閉じそうになっている彼の姿があった。
風邪ひいちゃうからここでは寝ないでねって言ったばかりなのになあ。いつもの目つきの悪い目も今は瞼の下に隠れてしまっている。こうしてるととても優しそうなのにな
セットして固そうに見える髪も、今はふわふわしていて、起きてしまうだろうからやらないけど……撫でくりまわしたい髪質だよなあ
そう思いながら、彼の向かい側の辺の炬燵に足を入れ暖を取る。部屋も十分なくらいに暖かくって、足から暖まってくる感覚から眠気が段々来てしまうのは仕方が無いだろう
気持ちよさそうに眠っている彼を眺めていたら、瞼が落ちてきてしまったのだ
「…ふぁ……ねむ」
寝てしまってどのくらい経ったのだろうかと、時計に目をやろうとしたら
「…いつの間に帰ってきてたのか」
今日は帰りが遅くなりそう と連絡が来ていた彼女の髪が視界に入った。
多分だけど、寝てた俺を起こさないように来たんだろうな。起こしても文句は言わねえのに
いくら室内が暖かいとはいえ、炬燵で寝るのは風邪を引いてしまうから起こさなきゃな
「A、……A起きろって」
肩をトントンと叩きながら彼女の名前を呼ぶ
寝起きのいい彼女はそれで起きたらしく、目を軽く擦りながら体を起こす
「風邪ひくから起きろって」
「…スマイルが先に寝てたんじゃん」
「…俺は引いてもいいけどさ、」
「良くないよ??」
「お前が苦しむのは嫌」
そう言った彼の頬は赤く染っていた
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お題ガチャ こんな二人がいればいい 様参考
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作者名:Himawari | 作成日時:2021年12月15日 18時