季節の変わり目 (ページ1)

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夏の暑さも落ち着き、台風のシーズンに入りかけた昼下がり。

やっとエアコンに頼らずとも過ごし易い日を迎えられるようになった。

私は、四季の中で青々とした木々が、赤黄と色付いていく秋が好き。

それに…

『うおっ！』

ソファーで寛ぎながら携帯をいじっている彼を背後から抱きつく。

『突然だな〜。どうした？』

携帯から目は離さないものの、携帯を手にしていない方の手で私の頭をポンポンと触る。

そう。

抱きつくのが気持ちいい季節でもあるから。

夏はエアコンが効いていても、拒否も拒絶もしてるわけじゃないが、なんとなく抱きつく回数が減る。

『…あ〜、そっか』

そういうと、携帯を目の前のテーブルに置いて、私の腕を解きソファに座るように促す。

促されるまま隣に座る私をぐいっと引き寄せ抱きしめる。

『もう秋になったんだね〜』

彼の胸に顔を埋める姿勢になった私の後頭部を撫でながらそう呟く。

『涼しくならなくても抱きついてきていいのに、相変わらず気を使うんだもんな～。でも、お陰で部屋の中からでも季節が分かるようになったよ』

クスッと笑い声が漏れる。

少しからかわれてる感じがして恥ずかしくなり、顔を上げて離れようとすると、彼は離さんばかりにギュッと腕に力を入れる。

『暑い夏は終わったんでしょ？』

そう言うと私の唇に彼の唇が触れる。

『ま～、どの季節でも離さないけどね』

きっと今の私の顔は、紅葉みたいに真っ赤になってる。