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数年ぶりの放課後、数年ぶりの帰り道を
数年ぶりの3人で歩く。

あたりがオレンジ色に染まっていて、少し切ない気持ちにさせた。




「それにしても、全員学年違うからこうやって帰るのは中学生のとき以来じゃね?」




慶ちゃんが思い出したように言う。
それぞれ慣れ親しんだ帰り道だけど、確かに揃うのは久々かもしれない。
わたしも頷いた。



「そうだね、なかなか会うこともなかったしね」



すると突然シゲがクスクスと笑いだした。




「俺さー、忘れられないのがAちゃんの待ち合わせ勘違い事件なんだけど」


「ああ、そういえばあったー!」



一緒に笑いだした慶ちゃんが続ける。




「覚えてる?Aが火曜日の放課後と水曜日の放課後を勘違いしてて、
 通学路で半泣きになりながら三時間くらい待ったやつ。」




……ああ、あった。そんなことあった。





「もう、その話は忘れてよー」


「いやいやあれは結構なインパクトだったよ」





シゲが笑いながら、路地の一番先にたつ街灯を指差す。
ちょうど同じ中学の制服をきた女の子がたっていた。






「ほらほらあそこの角っこで待ち合わせしててさーって……


 ………ーーーー え?」






言葉が途中でつまる。
街灯のしたの女の子が、こちらを見て微笑んだ。






(…まって、あれ、まさか)





嫌な予感は、慶ちゃんの言葉で的中した。






「あそこにいる子、Aにちょうど似てる気が…」





(やっぱりわたしだーーーーーー!!)






その瞬間、わたしは全力でその子に向かって走り出した。




「ええ?!Aちゃん?!」


「ごめんっ、あの子親戚の子なの!じゃあ、今日はここで!」





不自然なのは重々承知で、わたしは叫びながら二人に手を振る。

きょとんとした二人を置き去りにしたまま、街灯のしたの「わたし」の手をとった。





「わっ!ちょっと!そんなに隠さなくても」





抗議の声をあげるわたしを無視して





「隠すでしょ!いいからこっち!」





私はその場を走り去った。








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作者名:早野 | 作成日時:2018年4月15日 22時

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