私の『正義』。3 (ページ7)

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『イッショウさん。』

藤「これはこれは、Aさん。」

『……………数字、分かります？』

藤「そうでござんすねぇ。

　 Aさんのお好きな数字を教えてくれねぇですかい？」

『………………。

　

　1、ですかね。』

藤「そうですか。

　それでは、1で賭けてござんしょう。」

サイコロを落としていた藤虎の前に現れるA。

それをただ見つめるAと反対に
藤虎は真っ直ぐに窓へと顔を向ける。

『もし、外れたら？』

藤「そうですねぇ…………。

　この雨が当分止むことはありやせんかねぇ。」

『……もし、当たったら？』

藤「当たりですかい。

　それはきっと………

　晴れるでござんしょう。」

『ふんっ。

　答えは、

　6よ。』

藤「こりゃ！なんと！！

　あちゃー……外しちゃいやしたね……」

『こんなサイコロだけで天気を左右されるなんて、

　イッショウさんもお茶目ですねぇ。』

藤「っぷぷーーーー！！

　そりゃぁ、初めて言われやした。」

サイコロの賭けだけで一喜一憂する藤虎に
少し親近感が湧くA。

一方、藤虎はAの発言にあの癖ある笑い方でケラケラ腹を抱えていた。

『サイコロ占いだと暴雨が続くってのに……

　大将が変わっても呑気さは変わんないのね。』

藤「ぷぷーーーー！！

　 Aさんも信じてござんしょう！」

『やめい！その笑い方！！』

笑いすぎと藤虎に怒るA。

A達の目的地に向かって、

船は前へ前へと進んでいく。

荒れる天候に揺れる海軍船。

サイコロ占いの通り、

この荒れた天候はまだまだ続くだろうなと考えるAに、

藤虎は口を開いた。

藤「Aさん。

　ご安心くだせぇ。

　

　きっと、この空は晴れやすよ。」

　
Aはゆっくりサイコロの目に視線を移す。

その目に映る、

サイコロの数字は

1を指していたのであった。