番外編6-3 ページ22
サ「……A。」
『あ、報告書ね。ありがとう。』
報告書を受け取り、
再び背を向けるA。
サ「遅くなって悪かった。」
『うん。いいよ、大丈夫。』
サ「…………………。」
『え、なに？他に言いたいことあ………』
要件が済んだにも関わらず、
部屋を出て行こうとしないサボを不思議と思い
振り向き彼の顔を見るが、
Aは大きく目を開いた。
なぜなら、
サボの顔はとても悲しげなであったから。
『……その顔はどういう心情なの？
いひゃっ！！！』
黙ってこちらに歩いてきたかと思えば、
急にAの両頬を引っ張るサボ。
『なんにゃの……』
サ「んな悲しい顔すんなよ。」
『………へっ？』
サ「そんな……
泣きそうな顔見せんなよ。」
その瞬間、
Aの右目から一粒の滴がこぼれ落ちた。
『わっ………ごめ……』
サボの手に垂れた一粒の雫を拭き取ろうと手を伸ばすと掴み返され、
気づけばそのままサボの胸へと顔が埋まっていた。
『泣きそうな顔見せるなって言ってたけど。』
サ「ああ。
けど、泣いた顔を見せるなとは言ってないからな。」
『……ふんっ。生意気。』
サ「………家族が羨ましくなったか？」
『…………ドラゴンさんがいて。
サボがいて
火拳のエースくんがいて
麦わらくんいいなーって。
麦わらくんを
凄く羨ましく思っちゃったよ。』
サボは返事をするかのように
Aの頭を優しく撫でる。
『その分、自信もなくなっちゃった。
私ってさ、
お父さんに守られてるのかな？』
サ「なぁA。
俺とルフィとエースは本当の兄弟じゃねぇ。
でも、俺たちは盃を交わしたんだ。
そこで初めて兄弟に、家族になった。
家族だけしかお前を守れないのか？」
サボはそっと両頬を包み込み目を合わせた。
Aの瞳は曇っている。
サ「A。」
サボとAのおでこがぶつかり合う。
サ「俺に
お前を守らせてくれないか？」
俺がいる。
そう言っているその瞳に
Aの瞳は揺れ動いた。
『………サボって太陽みたい。』
サ「そうか？
でもきっと、
俺の弟はもっと明るく照らしてくれるぞ！」
眩しいほどの笑顔を見せるサボ。
Aの瞳はいつの間にか
晴れに変わっていたのであった。
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作者名：ピエロ | 作成日時：2023年6月2日 11時
