記憶喪失の君と幼馴染の僕 (ページ3)

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「このリモコンの赤いボタンあるでしょ？これを押すんだよ」

「あー違う違う！僕に向かって押してどうするの」

「…そうそう。画面に向かって、」

ポチッ

《それでは次のニュースです___》

『わ！すごい！ついた！すごいね！』

『やっぱりドさんは天才だよ！』

「大袈裟だよ。このくらいAも出来る」

しまった。
名前、

『…いきなり呼び捨てなんて、ドさん意外と大胆なんだね？笑』

良かった
何も思ってないみたい

「幼馴染がAなんだ。同じ名前だからつい。ごめんねキムさん」

___

『ドさん！テレビが壊れちゃったみたいなの！』

___

何の電話かと思ったら。

いつもはAが起きる前に看護師のお姉さんがつけてくれてるらしい

でも今日は水曜日

お姉さんは来ない日だ

テレビなんてボタン一つ押せば着くのに

『ドさんの幼馴染は女の子なんだね！』

うん。君だけどね。

『ずっと一緒だったのに、遠くへ行っちゃったんだよね？』

うん。それも君。

覚えてるわけないよね

テレビの付け方も、お箸の持ち方も、家族の名前も顔も、極端に全部全部忘れちゃってるもんね

先生が言ってたよ

__キムさんの場合はかなり特殊なので、記憶を取り戻すのは難しいかもしれません__

もしかしたら一生思い出せないかもしれない

今までのAはもう帰ってこない

遠くへ行っちゃったんだ

『ドさん？何で泣いてるの？』

「泣いてない」

『嘘だ。目からお水が出てた！』

「涙っていうんだよ」

『なみだ？そっか。涙涙。ドさんは本当に何でも知ってるね！』

「そんなことないよ」

『ドさん、会いたい？
Aさんに』

「うん。会いたい。とっても」

『そっかそっか。私も会ってみたいな～
きっと素敵な人だよね。ドさんが泣きたくなるほど会いたい人なんだもんね！』