2話 ページ3
side 北人
【人間界】
「はぁ、はぁっ……」
…痛い。
壁に伝ってなきゃまともにも歩けない。
なんで怪我してるんだろ…
なんで血が流れてるんだろう…
ホク「……早く、回復しなきゃ……」
【数時間前 天界にて】
ホク「ん？……ここは？」
いつも通り、マコと遊んでたら
いきなり召集がかかった。
言われた場所に行っても誰もいない。
？？「あれ、君だけなの？」
ホク「……誰、お前」
？？「あ、そっか。名乗ってなかったね。
僕はショウゴ。
見ての通り、真っ黒な悪魔だよ。」
ホク「……悪魔が僕になんの用？」
ショウゴ「いや、ね。
退屈しのぎに戦って欲しいなぁって。」
ホク「……は？」
……何言ってんの、こいつ。
てか、まず戦うってなんで？
退屈しのぎくらい悪魔同士でやれよ。
ショウゴ「俺、見習いなんだよね。
だから、誰も遊んでくれないんだよなぁ。」
ホク「……心、読めるの？」
ショウゴ「まぁね。
俺はいちばんそれが得意なんだ。」
相手がヘラヘラしているうちに
拳銃を向けた。
……つもりだった。
ホク「くっ……」
ショウゴ「拳銃抜いてから撃つまでが遅い。
ほら、君の羽に血がついた。」
相手の弾がボクの羽を撃ち抜いた。
ショウゴ「羽を撃たれたらもう飛べない。
大人しく苦手な地上戦を受け入れるんだ。」
ホク「くそっ……」
撃たれた瞬間分かった。
ボクじゃ到底敵わないって。
だから、ひたすら走って逃げた。
どこに逃げればいいかも分からない。
ただひたすらに。真っ直ぐに。
その間にも相手は後ろから撃ってくる。
右頬、左肩、右の太腿、左の脹脛。
相手の弾が確実に掠めて
ボクの傷が1つ、また1つ増えていく。
……どのくらい走ったかは分からない。
崖の淵まで来てしまった。
落ちれば間違いなく死ぬ。
逃げようにも逃げられない。
ショウゴ「あれ？もう諦めちゃった？
でも、逃げ足速いね。俺疲れちゃったよ。」
ホク「はぁ、はぁ……」
ショウゴ「とりあえずその姿じゃ
帰れないからなぁ。
君を始末はしたくないから
とりあえず落とすね。」
そう言って、
もう一度ボクの羽を撃ち抜いた。
ホク「そうだ。それで……」
近くに何かないかな。
休めて、尚且つ傷が回復できる場所。
あと、1度人間界に降り立つと
力を貯めないと帰れないから
力も貯めなきゃ。
……羽と体を引き摺りながらまた歩き出した。
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作者名：和音 | 作成日時：2020年10月26日 22時
