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「退院おめでとうございます！！」
ヒョンジンさんが持っていたクラッカーが勢いよく弾け、中からキラキラと星が降ってくる。
「あなたが、Aの命の恩人なんですね。本当にありがとうございます。」
「そんなそんな！頭を上げてくださいよ〜！」
母が深々と頭を下げているのをヒョンジンさんが明るく励ましている。
看護師さんが「よく頑張りましたね！」と綺麗なコスモスの花束を渡してくれた。
「すごい綺麗…本当にありがとうございます。」
病室は私の退院でとても賑わっていた。
「良かったね」と皆笑顔で、嬉しそうでこちらも嬉しくなってしまう。
でも、
「皆、ありがとう。ここまで面倒見てくれて」
彼の存在だけ無い。
病室のドアに何回も目をやるが、彼が来る気配はしなくて。退院出来て嬉しい気持ちと、今までのお礼を言えていないもどかしさが混ざり合っていた。
「ミノさんも来れれば良かったんだけどねぇ…」
「ミノになんかあったの？」
母の口から彼の名前が出て私は咄嗟に反応した。
「風邪を拗らせているらしいの。今日行きたかったけど、体調が悪いから行けそうに無いって。」
「風邪…」
「行けないから退院おめでとうって伝えてほしいって言われたのよ。ミノさんはどこまでも優しい人ね。」
胸がぎゅうっと締め付けられた。どこまで優しい人なんだろう。
拗らせているということは数日前から体調が悪いはず。なのに、母にわざわざ伝言を頼むなんて。
私が弱っていた時に手を差し伸べてくれたのは彼だ。そんな彼が弱っているなら私のやることは一つしかない。
「ねえお母さん。ミノがどこに住んでるか分かる？」
聞くと、母と父は顔を見合わせてメモ用紙にスラスラ書き始めた。
渡されたメモを見ると住所が書かれていた。
「ここから割と近いはずよ。送っていく？」
「ううん。歩きたいから、大丈夫。」
「分かった。あと、これ新しいスマホね。なんかあったら連絡しなさい。」
「ありがとう。」
「Aさん、もう事故に遭わないでくださいね？せっかく退院祝いしたんだから。」
「はい」と微笑むと、ヒョンジンさんはひとつの紙切れを渡した。
「これ僕の連絡先です！その人の事との記憶が戻った時に連絡してください。二人の絵を描いてプレゼントするので！」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げて、二枚の紙切れを握りしめて私は病院を飛び出した。
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薄(プロフ) - リノ推しさん» そう言ってもらえて嬉しいです！これからもお楽しみいただければ幸いです！ (8月21日 7時) (
レス) id: 881b900482 (このIDを非表示/違反報告)
リノ推し - めっちゃ面白い最高です！ (8月21日 0時) (レス) @page6 id: e3a9f906ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薄 | 作成日時：2023年8月17日 23時
