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長い間リバビリを続けていたからか足も少しずつ動くようになり、車椅子を使うことも少なくなってきた。
お医者さんから「少しずつ歩いてみよう」と言われ、今は病院の庭を歩いているところだ。
でも私一人で歩いている訳じゃない。
隣を見れば彼の姿がある。
一緒に歩こうと言ったわけでもない。庭に行こうとしたらばったり会って、流れるように一緒に庭を歩く形になってしまった。
「すごいね。ここまで歩けるようになるなんて。」
「まだまだだよ。今はゆっくり歩くことしかできないし。」
久しぶり歩くからか不思議な感覚で足が縺れそうになる。転ばないように歩くには1歩ずつゆっくり歩くしかなく、あまりにも遅いスピードでしか進むことができない。
「でもすごいよ」と彼は微笑んだ。
歩くスピードを合わせてくれる彼は本当に優しい人なんだと思う。こんなにのろのろと歩いているのに耐えられないと思うのに。
あのピアスの件以来、彼と話す時に色々躊躇ってしまう。
結局、ピアスのことも聞くタイミングが無くてただ時間だけが流れていった。
話を持ち出そうにも少し緊張してしまう。このことを打ち明けた時、私は彼になんて言えばいいんだろう。
過ぎった記憶の中にあった友達よりも恋人の雰囲気に近かった私と彼の姿。
これが幻だと知らないふりをしていいのだろうか。
「わっ…！」
思考の檻に囚われていたら、足元にあった石に気づくのが遅れて体勢が崩れてしまう。
顔が地面に近づいていくのが分かり、目をぎゅっと瞑ったのに痛みは襲ってこなかった。
「大丈夫？」
ああ腕を掴まれていたから転ばずに済んだのか。
「ご、ごめん。ありがとう」
目を開けた時に彼の顔が近くて少したじろいでしまう。
そんな私を気にせず彼は「気にしないでいいよ。」と明るく笑った。
「結構歩いたしそろそろ休憩しよう。」
ちょうど近くに椅子があり、そこに腰掛けると彼は「飲み物を買ってくる」と言い向こうに行ってしまった。
何故だろう、さっき掴まれたところが熱い。右腕に熱が集中してる。
こんなこと今までなかったのに。
不思議に思いながら彼の帰りを待っていると、「あ！」と弾けた声が聞こえた。
その声の持ち主はピアスを拾ってくれたあの綺麗な金髪の人だった。
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薄(プロフ) - リノ推しさん» そう言ってもらえて嬉しいです！これからもお楽しみいただければ幸いです！ (8月21日 7時) (
レス) id: 881b900482 (このIDを非表示/違反報告)
リノ推し - めっちゃ面白い最高です！ (8月21日 0時) (レス) @page6 id: e3a9f906ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薄 | 作成日時：2023年8月17日 23時
