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このピアスはきっと貰い物だろう。
頭の中に響いた言葉は確かに誰かに「ありがとう」と言っていた。
それにこの雫を見た瞬間、初めて見た物とは思えない既視感を感じた。
「あの、大丈夫ですか？」
金髪の彼が私の顔を覗き込んだ。心配している表情を浮かべている彼を見てようやく自分が思考の檻に捕らわれていることに気づいた。
「ごめんなさい、何か思い出せそうで…」
「お、思い出せそう？」
きょとんとした彼に記憶が無いことを説明すると、「えぇ！？」と彼の声が院内に響いた。
「そうだったんですか…もしなにか手助けできることがあるならなんでも言ってください！」
「ありがとうございます。…じゃあ聞きたいことがあるんですけどいいですか？」
「はい！もちろん！」
「大雨の時に車とぶつかったと説明されたんですけど細かいことは分かりますか？」
その場に居合わせた彼にしか聞くことのできないこと。手がかりを得ることが出来れば何か思い出せるかもしれない。
「細かいことですか…」
「なんでもいいんです。何か…」
彼は少し考えて「あ！」と思い出した素振りを見せた。
「そういえば、事故が起きてあなたに駆け寄った時に言ってたんです。
「行かないと」って。」
「行かないと？」
てことは私はどこかに行こうとしている途中だった？
でも大雨の中どこに？
「あと『待ってるのに』って言ってた気が…」
「待ってる…」
「あ！僕そろそろ行かないと！また来ますね！」
彼は時計を見て足早にエレベーターに乗り込んだ。
「あのありがとうございました！お名前は…」
「ヒョンジンです！」
ニコニコ笑った顔を眺めているとエレベーターの扉が閉まった。
"行かないと、待ってるのに”
誰かと会う約束をしていたのだろうか。
その誰かは分からない。
けれど、頭の中にはいつもお見舞いに来てくれる彼の姿が浮かんだ。
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薄(プロフ) - リノ推しさん» そう言ってもらえて嬉しいです！これからもお楽しみいただければ幸いです！ (8月21日 7時) (
レス) id: 881b900482 (このIDを非表示/違反報告)
リノ推し - めっちゃ面白い最高です！ (8月21日 0時) (レス) @page6 id: e3a9f906ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薄 | 作成日時：2023年8月17日 23時
