13 ページ13
LK side
『ミノ!』
明るく笑う彼女の隣をいつまでも歩いていたい。
俺の名前を呼ぶ声も、俺に見せるその向日葵のような笑顔も全てがたまらなく愛おしい。
この想いが日に日に大きくなるせいで、夢にまで出てきてしまった。
途端に彼女に会いたくなって会いに来て、今車椅子を押して彼女の背中を眺めている。
何も望まない。生きているだけでいいと思っているのに、夢で見た彼女の姿が頭から離れなかった。
名前を呼んだという発言で心臓が早く脈を打った。
少しずつ思い出している。
彼女が俺の事をそう呼んでいたのも、俺が彼女を呼んでいたのも。
嬉しくてたまらなかった。
嬉しくて、言葉にならなくて胸がいっぱいになって苦しい。
『ミノ』と呼ぶ向日葵のような彼女の姿がフラッシュバックした。
俺の顔を見ると彼女は少し驚いた顔をして、手をすっとこちらに伸ばす。
頬に彼女の指が触れた。優しく触れて離れた手には雫が残っている。
その瞬間、自分が泣いていることに気づいた。
「私の予想は合ってた、?」
ゆっくり頷く。
「じゃあこれから、ミノって呼んじゃだめかな」
せっかく拭ってくれたのにまた涙がこぼれそうになる。
俺はぐっと堪えて精一杯の笑顔で言った。
「いいよ。ミノって呼んで。」
小さなことって周りは思うかもしれない。でも俺にとっては凄く大きなことで、彼女が名前を呼んでくれることが何よりも嬉しいのだ。
529人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
薄(プロフ) - リノ推しさん» そう言ってもらえて嬉しいです!これからもお楽しみいただければ幸いです! (8月21日 7時) (レス) id: 881b900482 (このIDを非表示/違反報告)
リノ推し - めっちゃ面白い最高です! (8月21日 0時) (レス) @page6 id: e3a9f906ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:薄 | 作成日時:2023年8月17日 23時