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次の朝を迎えても彼の事が頭から離れなかった。
学校に行って授業を受けても昨日の事しか考えられなくて気づいたら授業は終わっていた。
最後まで板書出来ずに黒板の文字は消されていき、私は小さくため息をついた。
もし仮に私に友達がいたら、昨日の事をペラペラ喋っているはずだ。
人に打ち明けると心が軽くなるのは本当だと思う。誰にも喋らず一人で悩んでいる私は本当に気が重い。
『早瀬さん。』
「は、はい…？」
『先生が呼んでる。』
「先生、？」
彼女は用件だけ伝えると足速に私の元から立ち去って行った。
「ありがとう」って言えば良かったな。
少し後悔し机に項垂れた。
「………あ、先生」
職員室に行くと、メガネを掛けた学校では密かに人気があるという数学担当の先生がプリントを持って待っていた。
『前に言ってた復習プリントだ。』
「復習プリント…」
そういえば以前、何度解いても間違える問題があるからプリントが欲しいって言ったんだっけ。
「ありがとうございます。」
『皆も早瀬みたいに勉強熱心になってほしいもんだよ。』
「私はそんな…」
他にやることが無いので勉強してます。
そう言いたいくらい好きで勉強してるわけじゃない。
「あ、先生。」
『なんだ？』
ついでに聞きたいことがあった。
「この学校に目立つ髪色の生徒います？」
『目立つ髪色？』
同じ学校の制服を着た彼。
でも姿は見たことがない。
先生なら彼について知っているかもしれない。
「えっと薄い黄色の…」
『あぁ！あいつか！』
どうやら先生は彼のことは分かるようだ。
「先生分かるんですか？」
『まあ一応な、でも…』
先生はもう一枚私にプリントを渡した。
『早瀬みたいな真面目とは関わる人間じゃないな。』
私と逆の人ってこと？
『もしあいつに何かされたら言えよー』
先生は背中を向けた状態で手を振り職員室から出ていってしまった。
詳しいことはまだ分かってない。けど彼は私とは逆の人間らしい。
真面目の逆ってなんだろう。
不良？
でも不良には見えないし、危ない人にも見えなかった。
彼は一体何者なんだろう。
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作者名：薄 | 作成日時：2023年2月24日 18時
