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#3 ページ3

彼を眺め、通り過ぎる日々。

それはこれからも変わらない事だと思っていた。








いつもの帰り道。



やたら風が強く髪がぶわっと舞う。


風が収まったと思えばまた風が吹き、収まったと思えばまた風が吹く。




風のせいでボサボサになった髪を整えながら歩いていると海を眺める彼の姿が見えた。







彼の姿を見た瞬間、全てがスローモーションになっていく。









まるで映画のワンシーンを見ているようだった。



強い風のせいで半袖のカッターシャツがひらひら揺れ、薄黄色の髪がより一層なびいている。










綺麗であまりにも儚いと思った。



後ろ姿しか見ていないのに、そう感じるのは彼には他と違うオーラがあるからかもしれない。



ぼんやり眺めているとさっきより強い風が押し寄せた。




身構えていなかったから長い髪が自我でも持ったかのように動く。





「うわっ…!」





思わず声を出してしまった。


彼が後ろを振り向き私を見た。




初めて見た彼の顔は予想してた通り整っている。逆に想像以上に綺麗な顔立ちだ。





どうしよう。


なにもなかったかのように逃げる?


そうしよう。その方が楽だ。




逃げる事を決め踏み出そうとした瞬間、





「ねぇ」





風が吹いて聞こえずらいはずなのにハスキーな声が確かに聞こえた。


それは彼の声なんだろう。






もしかして今まで見てたのがバレた?


学校で「この人俺の事ずっと見てたんだけど」って広められる?




座っていた彼は立ち上がり私に近づいて来る。



謝る準備をしておこう。


せめて普通の生活を送らせてください、と頭を下げよう。



俯き、身構えていると足音は徐々に大きくなる。



足音が無くなった瞬間私は顔を上げた。






「あの、ごめんなさ…」




「これあげる」




「…えっ?」





彼は私に何かを投げた。



何かよく分からないまま彼から投げられた物をキャッチすると「ナイスキャッチ」と声が聞こえる。





それから彼はスタスタと坂を上り行ってしまった。





手の中にある物を見ると"わさびソーダ”と書かれた缶ジュースだった。




「なにこれ…」





絶対美味しいはずない物を渡されて何とも言えない感じだ。



もしかして要らないから偶然ここにいた私にあげたってこと?




味が気になりわさびソーダを口に含んだ。



「まずい…」



貰い物に言うのも申し訳ないが、喉を通るような味ではなかった。

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作者名: | 作成日時:2023年2月24日 18時

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