For you (ページ5)

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「は…………？」

聞き間違いだったか？この人は今なんて言った？

「消すよりかは書き換えるって感じかな。」

「なに言って……」

「君といた記憶を消して、君がいない本当のAの記憶に書き換えるのさ。そうすれば悪影響なんて元から無いようなものだからね」

我慢していた糸がぷつんと切れた。俺は立ち上がり叫んだ。

「お前…！！自分の娘に何しようとしてるかわかってるん！」

「貴族にお前なんて…礼儀がなってないな」

彼は呆れた態度を取った。

「そんな記憶の書き換えなんてできる訳…！」

「できるんだよ」

俺の言葉を遮るようにして言った。

「は？」

彼は立ち上がり、ディスクの引き出しの中から木箱を取り出した。

そして木箱から注射器を取り出して俺に針先を向けた。

「これを打てばあの子の記憶から君はいなくなる。」

「……脅しか」

「これは優秀な医者があの子専用に作った物だ。これを作るのに何年かけたか。悪影響を与える存在が現れた時に使おうと取っておいたんだ。」

「…これを使ってもAのためにはならない。あんたがやろうとしてるのは自己満足や」

この父親は間違ってる。Aは道具じゃない。

そう言うと、彼はまたにやりとした。