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Youside
何が起こったのか分からなかった。
ダンス最中に視界が暗くなって口を塞がれて、無理やりどこかへ連れていかれそうになった。
永瀬が私を呼び、私が男達から解放されて、永瀬の元へ走って言った所までは鮮明にわかる。
でも、今の状況は？
永瀬が私を受け止めた途端、全体重が私に掛かかり、倒れ込んだ。
永瀬が私を抱き締めたまま倒れて動かない。
「ながせ？」
私がそう呼んでも彼は目を閉じたまま何も話さなかった。
「永瀬…！永瀬…っ！」
体を揺すっても彼は目を覚まさない。
どうして？何が起こったの？
辺りを見回すと先程の男達はいつの間にか居なくなっていて、私と永瀬しかバルコニーにいない。
私は永瀬に助けられた？
放心状態でいると、後ろから足音が聞こえた。
振り返ると紫耀様がいた。
「廉っ！！！」
彼は険しい顔をして近寄り、私の方を見た。
「星宮さん、お怪我は？」
「私は何も、でも永瀬が…っ！」
「大丈夫です、息はあります。」
遠くから救急車のサイレンが聞こえ、そして徐々に音が近づいてくる。
「私が、 こんなだから永瀬が…」
私がしっかりしてれば永瀬はこんな事にはならなかったのに。
私のせいで。
気づけば、涙が頬を伝っていた。
「星宮さん」
紫耀様が宥めるように
「主を守る事が執事の義務です。星宮さんは思い詰めることは無いです。」と言った。
少しすると救急隊員と警察が来て永瀬を病院に運んだ。
「俺が付き添いで行くから、星宮さんは休んでて。夜中だし廉が心配するからさ。」
私は2人が乗った救急車を見えなくなるまで目で追った。
頭が真っ白だった。
私はその場に立ち尽くして涙を流すことしか出来ないのがたまらなく悔しかった。
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作者名：薄 | 作成日時：2022年11月19日 0時
