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星宮家に入ると、Aとは別の所に案内された。
別れる時にAが不安な顔で「廉…」と言い泣きそうな顔で手を振られた。
「こちらでございます」
メイドがガチャンと扉を開けた。
そこに座っていたのは、
「やあ、君が永瀬廉くんかな。」
キリッとした顔立ちで、茶色の髪。
「いつもAがお世話になってるよ。私はAの父だ。」
この人がAのお父さん。
「なんで僕をここに…」
「まぁ立ち話もあれだ。座って。」
手招きされて僕はソファーに腰掛けた。
さっきまでにこやかにしていた彼の表情が変わった。
「単刀直入に言うよ、Aには近づかないでもらいたい。」
「それは僕が庶民やからですか」
そう言うと、彼は「ああ」とにやりと笑った。
なんだこの人。Aのお父さんならあまり悪くは思いたくないが、嫌悪感が残る。
「あの子は君と関わって、庶民に憧れを抱いてるみたいだ。庶民を羨むなんて私達のような者がしてはならない。君はあの子にとって悪影響だ。」
「悪影響?」
彼を睨んだ。何が悪影響だ。勝手に決めつけられて心底腹が立った。
「そんな目で見ないでほしいな。これは事実だよ。」
僕の顔を見てけらけらと笑っている彼にグッと拳を握った。
「まあ、その悪影響が無くなるのもそろそろかな」
「俺の存在を消すつもり?」
「いや?消すのは
あの子の記憶さ」
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作者名:薄 | 作成日時:2022年11月19日 0時