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いつもひとりでいた僕に、全速力で駆けつけてくるミルクベージュ色の髪のあの子。
「ねぇ!一緒に遊びましょ!」
そう言ってその子は僕の手を引いた。
明らかに高そうなピンクのワンピースにキラキラした白のコサージュ。
明らかに僕と関わる立場では無いと最初から分かっていた。
なのに、君がきらきらした笑顔で僕に笑うから誘いを断ることなんてできなかった。
「僕なんかと遊んでいいん?君はこの大きな家のお姫様なんやろ?」
「いいの。私ね、一日で一番楽しみにしてるのが君と遊ぶことなの」
そう言ってその子は庭のブランコに向かい、思いっきりブランコを漕いだ。
僕とこの子は身分的には庶民ととても偉いお姫さまらしい。パパが教えてくれた。この子とこうやって遊べるのはすごく貴重なことなんだと。
「お姫さまってつまらないね。だって朝から本を読んで、その次に言葉遣いの練習なんだよ?お昼は美味しい料理が出るけど、食べ終わったら手紙を書く練習。つまんない。」
その子は僕と遊ぶたびに愚痴というものを吐く。お姫さまも色々大変らしい。
「そうなんや。」
「だからこの時間すっごい楽しいの!」
にこにこしてる顔がとても僕には眩しかった。この子が笑っているのを見れるのはかなり貴重なのかもしれない。
「僕もこの時間楽しい」
そう言うと、その子はきらきらした笑顔を浮かべて「ならよかったわ」と言った。
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作者名:薄 | 作成日時:2022年11月19日 0時