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「いいから黙ってろ、」
「___、」
少し腰を屈めて。
低く、威圧的に耳元で囁かれたその声に。
言葉が、喉の奥で止まった。
この代わり。
「っ、Aさんが彼女!?」
「ええっ、ジョングク先輩のですかっ…!?」
サナさんと、ジョングク先輩に告白していたあの女の子が、騒ぎ出していた。
そして
「なにか文句ある?」
先輩の、そのひとことと共にその場が凍りつく。
「あ、いえ、Aさんの彼氏が、ジョングク先輩だったなんて知らなくてっ、」
いち早く答えたのは、サナさんだった。
「そうだったんですかっ」
両手を前に出して「どうぞ、どうぞ」なんて。
……ほんと、意味が分かんない。
「じゃ、私はこれでね、Aさん」
急に態度を変えたサナさんが、そそくさと去って行く。
……なんだ、あれは。
ジョングク先輩に、並じゃないオーラを感じたのかもしれないけど。
あのサナさんが怯んでくれて助かった。
と、思っていたら。
「嘘っ、先輩に彼女ができたなんて…」
ジョングク先輩に告白した彼女は、信じられないというように、
「フリーだって聞いたのに……」
涙を浮かべながら、友達と一緒に去って行く。
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作者名:サラン | 作成日時:2017年7月16日 9時