その目が苦手 (ページ10)

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ﾎﾝｺﾞｳ「傷口みせて」

準備を終えたホンゴウが傷を押さえていた私の手を取った

ジッと私の傷を見つめて少し触られる

『結構深い？』

ﾎﾝｺﾞｳ「ちょっと深いな

少し縫うぞ」

そう言って麻酔の準備を始める

ﾎﾝｺﾞｳ「傷はあんま残んないようにするから」

傷の周りにチクチクと麻酔を打たれ

どんどん感覚がなくなっていく

目を閉じるとスッと意識を失った

次に目が覚めたときは傷口には大きなガーゼが丁寧に貼ってあった

外では宴の最中なのかやけに騒がしい

『私、そんな長く寝てたのか』

そう思いながら外に出ると宴の最高潮だった

盛り上がる中央から離れ、すみっこで海を眺める

「起きたのか」

背中から声が聞こえて振り向くと

ホンゴウが酒を片手に私の横に並んだ

ﾎﾝｺﾞｳ「傷口、痛くねぇか？」

『うん、おかげさまで』

ﾎﾝｺﾞｳ「もう怪我すんなよ」

そう言って微笑みながら私の頭に手を置く

その顔が、酒場の女に向けた顔とおんなじものだと考え始めてしまう

身体から知らなかったドス黒い感情が湧き出てくる

ホンゴウが私に触れる手はいつも少し熱を持っていて

私をみる目は目は甘くてとろけそうだ。

それが私だけのものだと勝手に勘違いしていた。

そうだ、ホンゴウのように天然人たらしみたいなタイプはは人によく好かれる

私も好きになってしまった

ここで引き返さないとさらに面倒な感情を抱いてしまう

まだ、まだ引き返せる

私は重い口を開き言葉を発した

『あの、さ、、』

ﾎﾝｺﾞｳ「ん？」

『こういうの、、やっぱ良くない』

酒を飲もうとしていたホンゴウの動きがピタッと止まった

沈黙の時間があまりにも長く感じ、周りの騒がしい音が静まり返ったように感じた。

ゆっくりと口を開くホンゴウ

ﾎﾝｺﾞｳ「…あーーー、悪い

そうだよな」

と私の頭から手を離し頭を掻きながら気まずそうに笑うホンゴウ

あっさりと引き下がられて、少しというかだいぶ胸が苦しくなった

ここでホンゴウが笑って「誰がお前なんかに」って笑い飛ばしてくれたらどれだけ楽だったか

ホンゴウはそのまま盛り上がる中央へと向かっていった
　

『バカホンゴウ

マジな顔して謝んないでよ…』

そう呟いてその場に座り込んで顔を伏せた

仲間内での色恋沙汰なんてごめんだ