意識改革 ページ6
ジェイソンはお金を詰め終わったようだ。
俺は皆に向けて、再度話し出す。
「個性についてどう思いますか？ 個性は便利でいい。世の中を生きて行くには個性は必須だ。じゃあ、こんな世界で無個性に生まれた人の気持ちを理解できますか？」
無個性の気持ちなんて分からない、って顔してるな。
「今の世の中みたいに、個性だけで全てが決まってしまうのはおかしいと思うんです。本当に大事なのは、個性の優劣じゃない。無個性だって活躍できる！ 個性に縛られて生きる奴より無個性の奴らの方が何にでもなれる、無限の可能性を持っている！！……少なくとも俺はそう思います。貴方達の意識が少しでも変わることを願ってます」
一種の布教活動だ。人の意識を変えるのは制度を変えるより難しい。だから、こうした地道な努力をする。いつか実を結ぶと信じて。
「行くぞ」
俺はジェイソンを引き連れて、銀行から出た。
・
現在、車で逃走中だ。
幸い、通報された様子はなかったので、警察は追ってこないと思う。安心してアジトに戻れるわけだ。
「にしても、相変わらずあんたって話すのが好きだよね」
「いやあ、必要な事だからな。俺たちがこれから為す革命には、世論を味方につける必要がある」
「じゃあ電波ジャックでもして一気に知らしめればいいじゃん。A話すの上手いんだから」
「そうすると、皆の心が追いつかない。あくまで少しずつやるからいいんだ」
意識改革は銀行強盗より難しい。
簡単にできるほど甘くないのだ。
子供の頃は「無個性でも活躍できる社会づくり」を夢に掲げてた。能力値に差があって活躍できないのは仕方ない。別の能力を身につければいい。だから、俺は皆に笑われながらもこの夢を叶えようとした。
けど、問題があったのは能力の差じゃなかった。意識だ。無個性の奴が「どうせ自分は個性持ってる奴らに敵わない」と諦めているのだ。そんなもん、出来るもんも出来ないに決まってる。
だから俺はまず、意識を変えることにした。無個性の奴が自分で行動できる社会。
子供のうちから個性持ちに虐げられて卑屈になった精神を、前向きな力に変えなきゃならない。
個性持ちに無個性の事を考えさせなきゃいけない。
そうして双方の意識が「個性」から離れた「人間性」に向けば、きっと世界は変わるはずなんだ。
「俺は、俺の夢を叶えるよ」
「その奇跡を、僕に見せてよね」
「ああ、約束する」
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音無春奈(プロフ) - 大好きです！主人公とジェイソンの手際がいい笑、ストーリー性もどストライク!!これからも応援してます！！ (2018年3月18日 18時) (
レス) id: 7d75b6b206 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - 主人公の考え方がすごく好きです。いや、もちろん犯罪はだめですけど（笑）更新頑張ってください！ (2017年8月13日 19時) (レス) id: 5352f2a595 (このIDを非表示/違反報告)
水彩(プロフ) - ロフさん» 本当ですね、すみません！ ご指摘、ありがとうございますm(_ _)m (2017年7月16日 18時) (レス) id: 39230931c8 (このIDを非表示/違反報告)
ロフ - こんにちは。突然すみません。オリジナルフラグを外し忘れていませんか？ (2017年7月16日 18時) (レス) id: afc5de7b10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まあじ | 作成日時：2017年7月16日 17時
