切り裂き魔vsヒーロー ページ28
耳郎響香side
私が駆けつけた時、『ジェイソン』と呼ばれていた彼は少年の上に跨り、切りつけようとしていた。
「やめろ！！」
咄嗟に彼を引き剥がし、少年との間に立つ。
「……ヒーロー、そいつは切り裂き魔だ。殺されて当然だと思わない？」
私のファンだと言ってくれた彼じゃないような冷たい声が響く。
けど、なんとなく自嘲が含まれてる気がするのは気のせいじゃないだろう。
「それでも、あんたが手を汚す必要ないだろ！！」
「僕がやらなきゃ誰がやるの？」
「罪は正当に裁かれる。あんたが罪を被る必要ない」
「でも、僕のせいで……」
「だああ、もううっさいなあ！！ いいか、私はヒーローだ！ イヤホンジャックが来た！ だから、安心してあとは私に任せろ！！」
ポカンとしてる『ジェイソン』。
い、いいじゃん、オールマイトは私たちの憧れなんだよ！！ ちょっとぐらい真似したっていいじゃない。
そうこうしてるうちに、後ろで少年が逃げ出そうとする気配がするので、すかさず捕らえる。
「ぐっ……離せよ、ヒーローなんだろ！？ おれは被害者だ！！」
「被害者？ あんたが切り裂き魔だって証拠はもう既に手元にあるんだけど」
ピシリ、と少年の動きが止まる。
「う、うそだ。おお、おれじゃない、そう、そいつがやったんだ！！」
「切り裂いた次は嘘まで吐くの？ 厚顔無恥もここまで来ると清々しいね」
『ジェイソン』はそう吐き捨てた。
「お、お前さえいなければ……！」
「いや、日本の警察は優秀だからお前なんかすぐ捕まるよ」
淡々と事実を突きつける彼。
戦意喪失した少年を一瞥してから、私に話しかける。
「イヤホンジャック、悪かったね。僕の事なのに巻き込んで。どうせAが堪えられなくなって、あんたに協力を頼んだんだろ？」
多少落ち着いたのか、『ジェイソン』はそう言った。
「まあね。初めて会った時から、あんたには何かあると思ってたよ」
私は少年を引き渡す為に、警察を呼ぶ。
到着まで少し時間がある。
「あとは私がやっとくから、あんた逃げなよ」
「いいの、ヒーローが犯罪者逃しちゃって？」
『ジェイソン』は面白がってるようだ。
「あんたが犯罪者って証拠がないからね。現行犯だったら捕まえるよ」
だからあんたが少年を刺してたら捕まえた、と笑うと、そっか、と苦笑いが返ってきた。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
『ジェイソン』はそういうとさっさと逃げて行った。
その数十分後、警察が到着した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
音無春奈(プロフ) - 大好きです！主人公とジェイソンの手際がいい笑、ストーリー性もどストライク!!これからも応援してます！！ (2018年3月18日 18時) (
レス) id: 7d75b6b206 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - 主人公の考え方がすごく好きです。いや、もちろん犯罪はだめですけど（笑）更新頑張ってください！ (2017年8月13日 19時) (レス) id: 5352f2a595 (このIDを非表示/違反報告)
水彩(プロフ) - ロフさん» 本当ですね、すみません！ ご指摘、ありがとうございますm(_ _)m (2017年7月16日 18時) (レス) id: 39230931c8 (このIDを非表示/違反報告)
ロフ - こんにちは。突然すみません。オリジナルフラグを外し忘れていませんか？ (2017年7月16日 18時) (レス) id: afc5de7b10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まあじ | 作成日時：2017年7月16日 17時
