譲歩とカミングアウト ページ25
「なんでそれをAが知ってるの？」
言葉に詰まるウチの心を緑谷が代弁してくれた。
「あー…なんとなく？ 勘だ勘。とにかく！」
男はそう言って立ち上がる。
「ジェイソンは多分、その切り裂き魔を殺す」
「「！」」
「それを止めて欲しい」
「ま、待って、そもそも警察だって居場所が掴めてないんでしょ？ じゃあ一般人が見つけられる訳ないよ！」
「見つけるっていうか、多分自分をエサに誘き寄せるんだ。最近、ジェイソン夜歩きひどいから」
「そもそも一般人が犯罪者を相手にするなんて、危険すぎ。それこそ、警察かヒーローに届け出た方がいいんじゃね？」
その方がウチらに個人的な頼み事するよりよっぽど建設的な気がする。
そう言うと、Aは静かに力強く首を振った。
「警察もヒーローもダメだ」
「なんで？」
「……」
男は黙ってしまった。
「言ってくれなきゃ、ウチら何も出来ないよ。事情も話してくれない相手は助けられない」
「ちょっと、耳郎さん」
「緑谷」
軽く睨んで緑谷を黙らせる。
多分緑谷は困ってる相手なら、事情が分からなくても助けてあげたいんだろう。
けど、ウチはそんなに甘くない。
ヒーローだけど、いや、ヒーローだからこそ、この男の真意を確かめなきゃいけない。
「……」
男はしばらく何かを考えた後、口を開いた。
渋々、とも、意を決して、とも取れる話し方だ。
「俺は仲間を裏切るのが嫌いだ。仲間を売るような真似もしたくない」
そう言ってまたちょっと黙ってしまう。今度は話す言葉を探してるようだった。
「だから、俺の口から全ては言えない。けど、ヒントだけは教える。そこからの答えは自分で出してくれ」
全てを打ち明けるつもりはない、って事ね。
「……分かった」
きっとそこが彼なりの譲歩の限度なんだろう。
「緑谷もそれでいいか？」
「う、うん」
男はその返事に満足気に頷いた後、今までのぎこちなさが嘘のように、快活に話し出した。
「よし、じゃあ話すぞ。まず、俺らは犯罪者なんだ」
「待ってそこからストップ」
「まず」で犯罪者って事をカミングアウトするの？ 嘘でしょ、超重要事項じゃないの？？
私たち一応警察寄りなんだけど、犯罪者って自白してどうするの、馬鹿じゃないの？
「なんだよ。話進まないからストップ2回までな」
話を遮られてむすっとするA。
本人は本気で何とも思ってない様子。
いや、可笑しいよね！？
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音無春奈(プロフ) - 大好きです！主人公とジェイソンの手際がいい笑、ストーリー性もどストライク!!これからも応援してます！！ (2018年3月18日 18時) (
レス) id: 7d75b6b206 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - 主人公の考え方がすごく好きです。いや、もちろん犯罪はだめですけど（笑）更新頑張ってください！ (2017年8月13日 19時) (レス) id: 5352f2a595 (このIDを非表示/違反報告)
水彩(プロフ) - ロフさん» 本当ですね、すみません！ ご指摘、ありがとうございますm(_ _)m (2017年7月16日 18時) (レス) id: 39230931c8 (このIDを非表示/違反報告)
ロフ - こんにちは。突然すみません。オリジナルフラグを外し忘れていませんか？ (2017年7月16日 18時) (レス) id: afc5de7b10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まあじ | 作成日時：2017年7月16日 17時
