「無個性でもヒーローになれる？」 ページ17
「……あのさ、聞きたい事があるんだけど」
しばらくして、意を決したように俺に伺いを立ててくる。
「いいよ」
「もし、子供に『無個性でもヒーローになれますか』って訊かれたら、どう答える？」
「『なれる』」
俺は即答した。
「俺が世の中で嫌いな人間は三種類。個性を理由に『逃げる奴』と『威張る奴』と『諦める奴』だ」
「……」
「諦めなければ誰だって何にでもなれるって、俺は信じてる」
「…そんな理想を語っていいほど、ヒーローは甘くないよ。ヴィランに立ち向かうには、やっぱり強い個性が無いと無理だ」
「じゃあ緑谷はヒーローに夢を抱く少年少女に『無個性だから諦めろ』って言うのか？」
「…下手に励まして希望を持たせるよりはいいかもしれない、って思う」
「ダメだねえ、ヒーロー失格！」
俺はハハッと無感情に笑って、人差し指を突きつける。
「個性が無きゃヒーローじゃない？ そんなはずない。無個性だって努力すれば個性よりすごい力を発揮できる」
「じゃあ君は炎が手から出せるの？ 体から物を作り出せる？ 屋上までジャンプできる？ 無理でしょう？ だって無個性じゃないか！」
緑谷君は自分で言った言葉に傷付いた顔をする。
傷付くなら言わなきゃいいのに。
俺にはノーダメージだから。
「炎は火炎放射器でも使えばいい。わざわざ体から作り出さなくったって買えばいい。屋上に行きたいならエレベーター使えよ。やってる事は、個性がある奴らと一緒だ」
「けど、結果は同じでも過程が違う。個性があった方がそれだけ有利だ」
「その通りだ、緑谷君。個性があった方が『有利』なんだ」
緑谷は、はあ？って顔をする。
君が今言ったじゃないか。
生きる為に『有利』なのが個性だ！
「顔が良い、性格がいい、運動ができる…それらは全部できるに越した事はない。が、そんな完璧超人はいない。そもそも顔が良い奴は性格が悪いって決まりがある」
「そんな決まり無いと思う」
あるんだよ、そういう決まりが。
まったく、大人ってやつはすぐ常識にとらわれたがるんだ。
黙って聞いとけ。
「個性があるってのは、ちょこっと人生が有利って事だ。個性がある奴には勝てない？ 違うだろ、俺は少なくともお前より話すのが上手い！ 無個性の奴らは勝とうとしないだけだ」
「人には向き不向きがある。無個性じゃヒーローに向かない」
「それを乗り越えてでも『なりたい』『勝ちたい』を訴えてる子供に、大人の諦めを押し付けんな！」
「なれるよ」って言ってくれる大人は少ない→←ヒーロー・デクより緑谷出久
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
音無春奈(プロフ) - 大好きです！主人公とジェイソンの手際がいい笑、ストーリー性もどストライク!!これからも応援してます！！ (2018年3月18日 18時) (
レス) id: 7d75b6b206 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - 主人公の考え方がすごく好きです。いや、もちろん犯罪はだめですけど（笑）更新頑張ってください！ (2017年8月13日 19時) (レス) id: 5352f2a595 (このIDを非表示/違反報告)
水彩(プロフ) - ロフさん» 本当ですね、すみません！ ご指摘、ありがとうございますm(_ _)m (2017年7月16日 18時) (レス) id: 39230931c8 (このIDを非表示/違反報告)
ロフ - こんにちは。突然すみません。オリジナルフラグを外し忘れていませんか？ (2017年7月16日 18時) (レス) id: afc5de7b10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まあじ | 作成日時：2017年7月16日 17時
