待ち人来る ページ15
待ちに待った水曜日、俺は指定された場所に9時ぴったりに着くよう移動する。
「おーい、俊典君」
「A！」
俊典君にブンブン手を振ると気づいてくれたみたいで、こっちに手を振り返してくれた。
「そんで俺に会わせたい奴って？」
辺りを見渡しても見当たらない。
「さっきまでいたんだが、ファンの子達に囲まれて連れ去られてしまってな」
「あ、そいつもヒーローなのね」
しかも結構人気じゃん。
「あそこの飲食店に来てって伝えてあるから、あの中で待っていよう。外は暑いしね」
そうやって待っていたら、30分ぐらいしてようやく待ち人が来た。
「お、お待たせしました！」
そう言って姿を現した待ち人は、どこからどう見ても緑谷出久、ヒーローデクで。
「って、ああ！？」
あっちも俺に気付いたようで、声を上げて指さされる。
俺はこれ見よがしに注意する。
「ダメだぞ、店内で大声出しちゃ。お店の人に迷惑だろ」
「え、あうん、そうだよねゴメン…ってそうじゃなくて！」
緑谷君は律儀に謝って来た。いい子か。
かくいう俺はその間に軽く荷物を纏めて、立ち上がる。
「俊典君、俺急用思い出したから退席するわ。また今度な」
そう言って席を立とうとすれば、得意の舌先三寸だと見破った俊典君が問答無用で俺を捕まえる。
そして何事もないかのように話した。
「二人はもう既に知り合いだったのか」
「いえ、知り合いっていうか、その」
「おいおい、会話してなくていいから。この手離してくれる？」
俺は逃げなきゃいけないのに。
ショートは見逃してくれたが、デクが見逃してくれるとは限らない。
スリで捕まるなんてダサいじゃないか。
「離したら逃げるだろ」
「勿論。スリの容疑で捕まっちゃうから」
「窃盗したのか？」
「うん」
「はあ〜ダメだろ、全く。緑谷少年、捕まえてくれ」
「あ、いや、この人が悪かったんじゃなくて、この人はスリから取り返そうとした人だから、僕は捕まえるつもりは無いっていうか」
「あ、マジ？ 流石話がわかるヒーロー、大好きだぜ」
俺は鮮やかに手のひらを翻し、元の席に座る。
デクもショートも犯罪者に優しいヒーローだな。
向こうはスリと銀行強盗犯が同一人物なんて思ってないから、見逃してるんだろうけど。
「つまり、スリから奪う為にスったと」
「そゆこと」
「…君の、信念の為なら犯罪も厭わない姿勢、私は少し恐ろしく思うよ」
「だから言ったじゃん、俺いい人じゃ無いって。悪人だよ極悪人」
そう言って笑った。
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音無春奈(プロフ) - 大好きです！主人公とジェイソンの手際がいい笑、ストーリー性もどストライク!!これからも応援してます！！ (2018年3月18日 18時) (
レス) id: 7d75b6b206 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - 主人公の考え方がすごく好きです。いや、もちろん犯罪はだめですけど（笑）更新頑張ってください！ (2017年8月13日 19時) (レス) id: 5352f2a595 (このIDを非表示/違反報告)
水彩(プロフ) - ロフさん» 本当ですね、すみません！ ご指摘、ありがとうございますm(_ _)m (2017年7月16日 18時) (レス) id: 39230931c8 (このIDを非表示/違反報告)
ロフ - こんにちは。突然すみません。オリジナルフラグを外し忘れていませんか？ (2017年7月16日 18時) (レス) id: afc5de7b10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まあじ | 作成日時：2017年7月16日 17時
