ファンの人(side:耳郎響香) ページ12
「あっ」と思わず声を上げてしまう。
ウチの好きな歌手のCDを、手に取った人がいたから。
その歌手はまだ駆け出しで若く、知名度が低い。
だから知ってる人を見かけて思わず声が出てしまった。
男性が振り向く。冴えないサラリーマンみたいな顔立ちで、いつも猫背でいるのが似合いそうな雰囲気の男性だ。
「すみません、その人、私も好きなんです」
「へえ、僕も好きなんですよ。いいですよね、元気が出る曲が多くて」
おや、と思う。
冴えないサラリーマンっぽくて、あまり人と会話するのが好きそうじゃない見た目だったから、会話を続ける意思がある事が意外だった。
それだけ、この歌手の話がしたいって事なのだろうか。
「けど、この人ってあんまり人気じゃないから、周りに知ってる人少ないんだ。君みたいな人、珍しいよ」
こちらを向いてふんわり笑う彼。
これも意外。
人は見かけによらないな。
そう思っていると突然、ウチの顔を見つめ出した。
な、なに？ なんかついてる？
「ヒアヒーロー…？」
彼はポツリと呟く。
ウチは気付かれる程人気じゃない。
派手に戦闘してヴィランを捕まえるより、潜入捜査や追跡任務などが多いからだ。
だから、あまりウチの知名度は高くない。
それなのに気付かれて、びっくりしたけど、どうやら元々私のファンらしい。
そう言ってくれたのが嬉しくて、ウチはつい差し出された手を握りしめる。
もう少しいろんな事を話したくて食事に誘ったが、友人との約束があるそうで、断られてしまった。
それなら仕方ない。
けど、メアドは渡せたし、連絡来るといいな。
彼のことを考える。
冴えないサラリーマンみたいな顔なのに、妙に女慣れしてる感じがあった。
話しやすいように話題を振るし、ふわっと笑うあたり社交的なようにも見えた。
そんな彼はどこかチグハグで、その他大勢に紛れるには少し異質な気配に思える。
(いや、考え過ぎ。気のせいだよ)
一般人にそういう穿った見方をするのは良くない。
潜入捜査や囮が多かったからか、どうにも人の変わったところに敏感になっているようだ。
癖になる前に直さなければ。
人を疑ってかかるのは私の目指すヒーローの仕事じゃない。
ウチは人を信じてあげられるヒーローになりたいんだ。
「……あー、名前聞くの忘れた」
今度連絡が来たら聞こう。
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音無春奈(プロフ) - 大好きです！主人公とジェイソンの手際がいい笑、ストーリー性もどストライク!!これからも応援してます！！ (2018年3月18日 18時) (
レス) id: 7d75b6b206 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - 主人公の考え方がすごく好きです。いや、もちろん犯罪はだめですけど（笑）更新頑張ってください！ (2017年8月13日 19時) (レス) id: 5352f2a595 (このIDを非表示/違反報告)
水彩(プロフ) - ロフさん» 本当ですね、すみません！ ご指摘、ありがとうございますm(_ _)m (2017年7月16日 18時) (レス) id: 39230931c8 (このIDを非表示/違反報告)
ロフ - こんにちは。突然すみません。オリジナルフラグを外し忘れていませんか？ (2017年7月16日 18時) (レス) id: afc5de7b10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まあじ | 作成日時：2017年7月16日 17時
