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水族館のシャチとイルカ3 ページ5

『もしもし、僕です。依頼の報酬確認をしたいので、今から会社に来ていただけませんか』
依頼人からの言葉に私はわかった、とだけ答えて会社に向かった。
かの女社長が殺された現場へと。

現場へ着くと、私は依頼人に両手を拘束され椅子にくくりつけられ、顔に麻の袋を被せられた。
原作通りだ。

私はその状態でピクリとも動かずに、ただじっとしていた。
あー、暇な時ってどうしてこんなにも時間が過ぎるのが遅いのだろう。

私の体感ではゆうに40分は経過した頃、ようやく扉が開く音が聞こえた。
来たか。

福沢が足音を立てずに歩み寄ってくる気配を感じながら、私はそれでも動かなかった。
なんせ私には5秒先の未来が見えているのだ。恐ろしいことは何もない。
ばんっと容赦ない破裂音が響く。反射的にビクッとしてしまった。

次は万年筆で『刀のフリ』だ。別に死にゃしない。それに未来がわかるのだから大丈夫、落ち着いて避ければ……

ゾクッ

ガタンと激しい音を立てながら私は椅子諸共転がり落ちた。
なんだ今の、なんだ今のなんだ今の!!
いや、何だ、なんて聞かなくてもわかる、殺気だ。今までやってきた殺しの中でもトップクラスの危険度。分かっていたのに避けさせられた。避けざるを得なかったのだ。

「案ずるな、ただの筆記具だ」

いや、あんたが持つとただの暗器だろう。
反射的に、括り付けられた体勢で無理に動いてしまったので、受け身を取りきれなかった。じんじんと痛む身体で警戒心を跳ね上げる。

未来がわかるから、顛末が分かるからと油断していていい場面ではない。

ーー織田作は余裕で福沢諭吉の上をいった。

殺しと護衛では闘い方が違うし、あの時あのシーンは織田作に有利な状況だったことを差し引いても、あの武術の達人福沢諭吉より優れていたのだ。

私は誰だ、天才暗殺者織田作之助だろう!

私が織田作ならば福沢諭吉を出しぬかなければならないのだ。油断なんてしていいはずがない。

大丈夫だ、なんのために私が今迄努力を重ねてきたと思ってる。
私ならできる。織田作に出来たことが私に出来ないはずがない。
だって私 は 織田作なのだから。



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水族館のシャチとイルカは『共存』してます。
ショーとか面白いですよね。

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翡翠 - 凄い文章力の羅列…裏山しいたけ(古い)何なんだ !あなたは !天才か! ?文豪じゃないのk(( はい。これからもどうか、頑張っていってください !更新を心待ちにしております!!! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
らい - 面白い........!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年8月9日 2時) (レス) id: 3b0d55ccc1 (このIDを非表示/違反報告)
チューリップ - 織田さんの成り代わりある様でないですよねぇ〜。更新待ってまーす (2019年4月4日 1時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2018年12月3日 15時) (レス) id: 81fb36e344 (このIDを非表示/違反報告)
世桜 - 凄く面白くて、一気読みしました!!細かな心情が描かれていて、続きが気になります。更新心待ちにしています。頑張って下さい! (2017年4月10日 0時) (レス) id: f27162b486 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まあじ | 作成日時:2016年6月12日 11時

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