【文豪ストレイドッグス】シャチはイルカを食べるのだ

ぶっ壊せ！12 ページ20

「あるだろ、なんか遊撃部隊とか」
ああ、そっちか。正直、ポートマフィアの施設内に居るんだからポートマフィアに決まってるでしょって思った。
「……無所属です」
「いや、なんかあるだろ」
考えてみても私の立ち位置は無所属以外に答えようが無いが
「……溝(どぶ)浚い？」
「何だそれ」
こっちが聞きたい。不本意すぎるこの名称しか言い表せないんだよ。
誰もやりたがらないような雑用か厄介ごとだからな。面倒極まりない。
「お前、本当にどこにも入ってねえのか？」
「はい」
「そんだけの射撃の腕がありながら？」
「大したものではありません」
「……ふーん。じゃあ俺んとこ来いよ。歓迎するぜ」
ま、まさか中原中也から誘いがくるなんて思ってもみなかった……けど、まあ中原中也は性格男前だからな。
多分、有用だと判断したら地位立場関係なく実力で取り立てると思う。
「すみません。お断りします」
「……はぁ？」
ポカンとしている。まあそうなるな。
上司からの直接の勧誘なんて断る方がどうかしてる
「これ以上ないぐらい好条件だろ。何が不都合なんだ？」
「私は人を殺さない事にしてるんです」
「人を殺さない？ なんだそりゃ。手前、なんでマフィア入ったんだ」
子供達を養うため、とは言えない。そもそもまだ子供いないし
「人を殺して生計を立ててた時期があったからです。真っ当な仕事には就けません」
「で、今は人を殺さないのか、 なんだそりゃ。お前、名前は？」
「織田作之助です」
「織田？ …ああ！てめえか太宰の友人ってのは！！」
「そうですが」
何を唐突に。ってか、中原中也は織田作之助の事を知らない印象があったんだが。実は密かに交流があったとか？
若しくは、太宰や私が転生者なおかげで起きた『イレギュラー』か。
「お前、正直に言っていいんだぞ？ あの青鯖野郎に何された？」
「今の所は何も」
「本当にあいつの友人？」
「私はそう思ってます」
「やめといた方がいいぞ？ お世辞にもいい奴とは言えない」
「そうですか？」
「ああ、あいつだけはいい奴じゃ無い！騙されんな！お前、何かされたら俺に頼れよ、助けになるからな！？」

なっ？ と紙に書いた連絡先を手に握らされた。
連絡先交換しちゃったよ……え、なんで？
怒涛の展開すぎてちょっとついてけない。

けど、まあ私が生き残る為の手札が一つ増えたと思っておこう。中原中也が味方なんて心強い。

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