液晶越しの御加護【刀剣乱舞】 (ページ3)

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　よく晴れた日……今日から夏休みだ！と嬉しい気持ちは蝉の鳴き声がかき消した。

　――暑い。暑すぎる。太陽が隣で歩いている様な暑さだ。

「ああ…………ん？こんな所、道あったっけ」

　ふと目にとまったのは一本の道。木が生い茂っていて、昼だと言うのに薄暗い。しかし、それでもいいから涼しさが欲しい。

　人毛の無さも気にせず、どんどん進む。この道でも家に辿り着けるのか？いや、後で戻ればいいか。今は冷たさが欲しいのだから。

「……え、行き止まり？」

　案外すぐに壁が見えた。壁には大きな穴が開いていて、興味本位で覗くと奥に明かりが見えた。

「繋がってるんだ」

　不思議と身体が進み出す。別に抵抗する理由もないので、行くだけ行ってみようと思った。

　……あ、でも、お姉ちゃん心配するかな。やっぱり戻ろうか。

　振り返ると、私が今まで来た道は塞がれていた。工事の人速ッ、と思ったが、塞ぐ理由も無いだろう。じゃあ何？ ――怪奇現象？汗が冷や汗に変わりだす。

「お邪魔しました！」

　塞がっていようが何だろうが、私は帰れる所まで帰るから。

　全力で走った先に、人が居た。この状況だと人じゃないのかもしれないな。

「すみません、退いて貰えませんか」

「……退いたら、俺達に何か良い事は有るか？」

　全身真っ白の人だった。もう駄目だ。私は殺されるんだ、せめて最期に謝っておこうか。

「あの、何か、ごめんなさ――」

「君の事が気に入ったんだ。俺達に名前を教えてくれたら、此処から出してやるさ」

「Aッ！ Aです！」

　必死に名前を叫ぶと、その人は満足気な笑みを浮かべて「どうぞ」と言った。

　それからは只管に走って家に帰った。

「……A、か。うん、良い名だな」

　これから起きる事も知らずに。