焼失の記憶 / osmn ページ11
．
『ねぇ、私』
『記憶が、無いの』
彼女が紡いだ言葉というのは、今更かとさえ思える程の事だったのと同時に、この平穏を壊したいのかと彼女の神経を疑った。
彼女によると、彼女がこの部屋で生活する前、というかなんでここにいるのかすら分からないという。持っている記憶は俺とこの部屋のいる記憶だけ。
家族との記憶さえ無いのだ、と彼女は汗を垂らして言った。無駄に残った教養をここでもかと生かす彼女はまるでライオンの狩りをする姿のみ見てきたリスの様だった。
家族、ねぇ。
彼女がここに来てから俺は家族の話など触れてこなかった。
自ら振って墓穴を掘るようなことはしたくない。
なのに今更記憶の喪失を…。
「んふ、何言っとるんA」
『へ』
「Aの家族はAを置いていっちゃったんやで、だから俺と一緒なんやで」
『なんでそんな嬉しそうに言うの、オスマン…』
だって、Aを奪う奴らから奪い返せたんやから。
嬉しそうでも違和感ないやろ。
「だってAとこうやって居れてるし、Aを助けられたんやから」
俺以外の登場人物はいらない。
不要な物語はカットしていかなければならない。
この続いた人生のフィルム、要らない冒頭なんかちぎって燃やして仕舞えばいい。
人の記憶は限界がある。
それも殆ど印象に残ってない事なんか、必ずAは忘れてくれる。
Aの髪に指を通す。
この絡まない髪のように、俺達の物語から支障は取り除く。
俺が描いた台本通りに、この物語は進んでいかなければならない。
「台本に無いことは勘ぐらないように、A」
役者の育成も、監督の役目だよね。
．
続く (更新停止中)
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ちゆ(プロフ) - このシリーズ、本当に大好きです。もしまた更新される予定があるのであれば、楽しみにしています。 (2020年6月12日 0時) (
レス) id: 6c19e7d8ad (このIDを非表示/違反報告)
眠斗(プロフ) - さらさ様、今回もコメントありがとうございます！師匠だなんて照れちゃうなぁ(( これからものんびりにはなってしまいますが、自分の好きなヤンデレというものを更新していきますので是非見てやってくださいー！ (2019年12月26日 9時) (レス) id: 8b27b7e5ad (このIDを非表示/違反報告)
さらさ(プロフ) - 眠斗様、続編おめでとう御座います..！！流石は眠斗御師匠！←何時から弟子に。これからもお身体に障らぬ様、更新頑張ってください！(￣∇￣*)ゞ (2019年12月25日 23時) (レス) id: 48244b96b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眠斗 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a240fcc5d71/
作成日時：2019年12月20日 15時
