ごめんなさい / grppn ページ8
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この国が、好きだ。
着慣れた軍服を鏡越しに見つめる。
意外に好きなこの軍服。皆結構ラフな格好ばかりで、しっかりと来ているのは数名しかいなかったけれど、これはトントンやオスマンが頑張って素材とかにもこだわって作ってくれたもので。どうしても脱げなかった。
なんだか、胸の紋章は、この国の紋章は私の良心を、生まれた情を刺激した。
ここに来てから、顔立ちが変わった。
何だか疲れた暗い顔も、ここでは明るい顔つきになった。
自然と笑顔になれた。
戦場では前線に出て、ゾムやシャオロン、コネシマと殺りまくった。
浴びた血液は気持ち悪かったが、お互いを任せられる仲間が、とても美しく見えた。
でも、どうしても、がら空きの任せられた背中に、ぐしゃ、と顔を歪ませてしまった。
私に任せないで。
私の目的は"我々国の壊滅へ向けた準備を行う"ことなのだから。
もう予想以上に情が移ってしまったらしい。
最初は拒絶覚悟で向かったのに、何故か私を包み込んでくれて。
特にショッピさんは、年齢的にも所属年数的にも初めての後輩でとても喜んでくれた。
思い出が溢れてくる。
何故こういう時に限って、思い出すことがこういうものなのだろうか。
私は最低な人間で、私は悲劇の人間だ。
…いや、自業自得、因果応報というべきだろう。
悲劇を生み出したのは私自身だ。
彼らと深く関わるべきではなかった。
彼らを騙すべきではなかった。
彼らに受け入れられるべきではなかった。
スパイとしてこの国に忍び込むべきではなかった。
嗚呼、後悔。
どうせなら、全うに生活して、もっともっと普通の出会いをしたかった。
もういちどやり直したら、会えますか。
もういちどやり直したら、グルッペンさんにお返事が出来ると思うの。
その心を私以外の誰かに向けてくれさえすれば、
潜入先がここでさえ無ければ。
殺しきった感情が戻っている。
蘇ってきたその感情が、心から上がってきて、
目からぼろぼろと零れる。
もう耐えられなくなっちゃったから、
母国を嘲笑って死ぬので、
不届き者の命は、
あと少し使わせて。
USBメモリと、一通の手紙を置く。
ここはロボロが使う監視室だ。
これで最後。
溢れる涙を抑えて、数千キロメートル先の恨みの対象である母国へ走った。
ごめんなさい。
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作者名：眠斗 | 作成日時：2019年5月22日 21時
