初恋は地に落ちる / ut ページ35
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鬱先生の手紙パロ 捏造注意
時間軸としては【 鬱先生がメンバーへ手紙を送る前・鬱先生がアイホートに支配された後 】です。
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ばたん、と大きな扉を開けた。
相変わらずこの屋敷は無駄に大きいと思う。
無駄に大きい割には最大でも両手で数える程しかいなかったと思うのだが。
外の森は昼間なのにも関わらず鬱蒼としており、重なり合う木々の葉によって昼間の眩しい陽射しを遮断した。不気味なその森、以前はこんなに暗くは無かったと思う。
屋敷自体も廃れており、森と同化するように言ったら" 鬱オーラ "なるものが出ている様に感じる。
まあ、今住んでいる人間が鬱オーラを出しているし、片付けやら手入れをする様な人じゃないからしょうが無いという所ではある。
屋敷の中を歩き進める。
確かにここには家主がいるのだが、きっとノックしても気が付かないだろうから彼の元へ行こう。
蝋燭が廊下を明るく照らしていた。
今にも動き出しそうな甲冑には埃が薄く積もっていた。やはり彼だ。
ここに一人で来るなんて、本当に嫌なのだ。
この屋敷も一家も彼も、好きなんかじゃないのに。
しかし、これもそれも上からの命令。
私だって救われたい物なのだ。
「不法侵入なんて厭らしいな、Aちゃん」
ぞくりとした感覚を背筋に感じる。
ねっとりとした様な喋り方。彼だ。
振り向けば、青白いどころか白い顔をした男、鬱がいた。
『不用心なのは鬱の方じゃないの？』
「俺はまず男やし犯罪者のひとりやふたりボッコボコに出来るよ。それにこんな所に来るの噂好きの馬鹿な学生か遭難者位でしょ」
彼は胸ポケットから煙草を取り出すと、ライターで火をつけた。
先端から現れる白色。煙草特有の苦い香りが漂う。
「で、今日は何の用なの？」
『…いや、ちょっと様子見に来たの』
「んふふ、流石の俺でも餓死なんてしないよ」
『虎にでも襲われてないかなって』
「赤目って虎なんて出るの？まぁ、いても近寄らないよ」
確かに彼の身体能力は素晴らしい。
しかし、それに反して体型は一般男性より痩せ型である。一時期デブだの何だの言われていたとは思えない。
痩けた頬、彫られたように出ている手の骨のシルエット、ぶかぶかなスーツ。
嗚呼、もうそこまで進行してしまっているのか。
──
どんどん迷走
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作者名：眠斗 | 作成日時：2019年5月22日 21時
