【 d! 】僕色の花束を君へ【短編集】 (ページ27)

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煌めくワイシャツ / knsm ページ27

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ぱたぱたと透明の下敷きで涼しさを求める。

開いた窓からは生暖かい風が教室を満たすように入ってきて、更に私の体温を上げようとしている様だ。

机の上に出された数学の教科書。
意外に外からの生暖かい風が強く、ぱらぱらと頁が捲れる。

先程の計算問題の頁から、習っていない図形計算の頁へ…。
風に運ばれる頁は多様な問題を映し出した。

扇風機は故障中。
だったらクーラーを付けるべきだと思うのだ。

ノートは数字の羅列が並べられており、シャーペンで書かれた自分の字はよく綺麗と言われるが別に好きでも綺麗とも思わない。まず字にそれほどのこだわりがないのだが。

「あ、ちょっとクーラーつけるぞー」

「やったー！」

「窓閉めてー！！」

先生がクーラーのスイッチをいれる。

生徒は喜びの言葉を零し、ガガガと吐かれる冷気に頬を綻ばせた。

クーラーの風が窓際の私の席へ届く頃には、教室中が冷気で満ちていただろう。

優しく頬を撫でる吐き出されたクーラーの風は、外の生暖かい風や、下敷きで作り出す風とは比べ物にならず、冷たさを帯びた文字通り冷気であった。

解答を生徒を次々と指しながら告げる先生は、長袖を捲っていた。

外を見ると、青空に浮かぶ太陽が校舎や中庭を照らしていた。
校庭では2年生が陸上をやっていた。大変そうだ。

中庭に咲く花々は美しく、用務員さんが蛇口に繋がれたホースで水やりをしていた。

＿＿

授業が終わり、放課後。

人も疎らになった教室には、未だ夏らしくなってきた日差しがさしており、床や壁を照らしていた。

私の机も照らされ、まるで海の水面の様に煌めいていた。

『はあ、全然楽しくない』

机に座るという如何にも行儀の悪い事なのだが、今の退屈さには誰かに怒られる、それ位が丁度よかった。
日差しに目が眩み、今の何の変哲もない私の日常を嘲笑っている様に感じる。

外では、運動部がわーわーと走っている。
どうやらどの部活も夏の大会前らしい。大変そうだが、私の日常には関わらない。非常に退屈だ。つまらない。

「何しとんのやA」

その声は後ろから聞こえた。

扉の近くに立っていたのは制服姿のコネシマ。
バッグを背負い、サッカーボールを片手に持っていた。

『コネシマ、部活は？』

「え？今日は暑っついからなぁ…休息や、休息」

彼がいれば、退屈なんて無いのかもしれない。

煌めくワイシャツに飛び込んだ。

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無自覚片想い夢主的な