【 d! 】僕色の花束を君へ【短編集】 (ページ13)

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Ⅱ ページ13

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机に置かれた皿には、甘い匂いを充満させるマドレーヌが置かれている。
オスマンさんが出しているという事は美味しいのだろう。彼の出す甘味はハズレがないとグルッペンさんがにこにこしていたのを思い出す。

そこで、オスマンさんが紅茶のカップに手をつけるのを待つ。

彼はカップを手に取ると口元へ運ぶ。
彼のひとつひとつの仕草は非常に女性らしさを秘めた、学んだ作法という感じがある。
これに関しては人前での食事を強要される肩書きのグルッペンさんやトントンさん、エーミールさん、そしてオスマンさんは特に美しい。まあ最初の方に関しては、普通の食事は真顔でもっきゅもっきゅ言っているだけなのだが。

そうして、彼は私を見つめ、はよ食べえやと促した。
紅茶の水面には私の顔が写っている。

紅茶を一口。

口内に広がる紅茶は茶葉の深みが出ているというか…語らずとも飲めばわかる美味しさだ。逆に言葉にすると味が落ちる気がしてくる。

マドレーヌを頬張るオスマンさんを見つめ、自分もマドレーヌに手をつけた。
自分も頬張ってみれば、甘さがふんわりと広がる。それは紅茶と喧嘩する事もどちらかが勝ることも無く、お互いが丁度良い関係性を築いている。

流石オスマンさんだ。紅茶とお菓子のマッチングも考えてくれているなんて。

すると、オスマンさんは口元を拭って、喉から唇の外へ言葉を吐き出した。

「あんなぁ、この前の潜入ん時にさ」

そう言って深緑が見つめる。
なんだかその瞳は濁って見えた。

「Aちゃん、襲われかけたんやってな」

そう言われた瞬間、体が石化した様に動かなくなった。
カップの持ち手を握ったまま行き場を失った手も、瞬きさえ出来ない程空気が時が止まった気がした。

何故オスマンさんがその事実を知っている？
この事を知っているのは、私自身と、今は亡きあの男と数人の兵、そして私を助けてくれた同僚と、報告書を渡したトントンさんとそれを確認したであろうグルッペンさんのみ。

「５徹してたトントンを寝かせたら、ちょーどその報告書が隠されるように置かれててな？」

トントンさんの優しさは知れたが、この様子じゃ報告書も全て読まれているだろう。

そう言って立ち上がる。
私の元までくれば、姫抱きしてベッドに放り投げる。

抵抗も虚しく、馬乗りされ、彼は私を拘束する。

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短編とは。
どうしても文字数に殺される…