神のみぞ ページ5
営業所から出てすぐの喫煙所を通り過ぎた時
「Aさん」
と声がかかり立ち止まる。はて、今の声は誰だったか、と鞄を持ち直し振り返った
「あ、お疲れ様です。…楠木さん」
彼は偶に社内で見かけるが、部署が違うので殆ど会わない。名前が出てきたのを褒めて欲しいくらいだ
「最近調子良いね」
手元の煙から灰を落としながら彼は言う
「まぁ、お陰様で…ぼちぼちです」
「活動先男性職員ばっかなんだって？デートでもした？」
「まさか、してないですよ」
なんで楠木さんがわたしの成績知ってるんだろ
なんで取引先を知ってるんだろ
わたしは2・3箇所の企業を回らせてもらってるが、どこも男性の割合は大きい。その中でもここ最近安定して数字が上がっているのは株式会社クイズノックからだから、彼が言っているのも恐らくここだろう
「Aさん」
会話の糸口の意図を汲み取れずに困っていると遠くから声がして顔を上げながら反射的に彼の名前を口にする
「河村さん」
「奇遇だね お勤め先はこの辺りだったかな」
「そうです、すぐそこなんですけど」
と弊社のビルの方向を指差しながらさっきまで話題になっていただけに勝手に気まずくなる。楠木さんの目が心なしか冷たいような気がした
「今日はこの後うちに？」
「あっ、はい。お邪魔させて頂こうかと思っていました」
彼は唐突に それは大変だ と少し大袈裟に言う 芝居じみた仕草がよく似合う人だと思う
「Aさん、雷は？」
突拍子のない質問に驚きつつも素直に答える
「あまり大きいとびっくりします」
「よし、じゃあ急ごう 降水確率70%だから」
と上着を脱いでわたしに頭から被せる 視界が狭くなり思わず河村さんの服の裾を摘んだ
えっまだ降ってないですよね
更に耳まで塞がれて小走りに進むからわたしの足も同じ速度で動かす事になる 河村さんこれもしかして楽しんでないか？
オフィスに着く少し前に大粒の雨が降ってきて、エントランスに入った瞬間にバケツをひっくり返したような激しい豪雨になった
河村さんの上着を畳んで抱える これは洗濯してお返ししよう
「本当に雷が鳴りそうですね 危なかった」
もう少し遅かったら二人とも濡れネズミだったろう 感謝しなければ
「なんとかのみぞ知る、ってやつですか？」
冗談めかして笑うと彼は悪戯っぽく愉快そうに さあね と返して今度はゆっくりと歩みを進めてオフィスへと向かった
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蜜柑 - 楽しみにしています。(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年8月9日 20時) (
レス) id: d8e429c972 (このIDを非表示/違反報告)
あまき(プロフ) - 蜜柑様 お待たせしてしまい申し訳ありせん！メッセージありがとうございます。そう言って頂けて大変嬉しい限りです。今少し生活が忙しく中々筆が進められないのですが、お話の大筋は考えていますので出来る限り早く更新して行きたいと思っております。 (2020年8月9日 2時) (レス) id: 4fb765d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 早く続き読みたいです (2020年8月8日 13時) (レス) id: d8e429c972 (このIDを非表示/違反報告)
あまき(プロフ) - 早瀬様 応援のコメント大変励まされます。うちの子を激推しして頂けるなんて作者冥利に尽きますね。良い子過ぎるのでもう少し自由になってほしいところです。更新頑張りますので、是非行く末を見守ってくれると嬉しいです。 (2020年8月4日 23時) (レス) id: 4fb765d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。いつも楽しく拝見させて頂いております。毎日更新されるのを楽しみにしてます。主人公ちゃんがいい子すぎて激推してます……。これからも更新頑張ってください！ (2020年8月4日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまき | 作成日時：2020年7月11日 22時
