海王に来た１人の少女…。4

神様。どうか、お兄ちゃんを助けて…っ。 ページ48

凪沙side

私は、お兄ちゃんのことを見ていなかったんだ。

一番わかっているようで、一番わかっていなかった。

最低だ……、お兄ちゃんはこんなになるまで私達の面倒を見てきてくれたのに…。

お兄ちゃんは、お父さんが仕事で全然帰ってこれないことをわかっているから、家事や学校、私達の面倒をずっと頑張ってきたのに…。

私は…、お兄ちゃんを手伝ったことはあった？

私は…、お兄ちゃんの迷惑にならないようにじっとしていた？

私は…、お兄ちゃんを理解していた？

どれも、『No』だ。

もう、気付いたら家の前で。

扉を開けるのが怖かった。

何かあったらAちゃんに連絡しよう。
でも、頼ってばかり。そんなの、ダメに決まってる。

カチャ。

凪沙:お兄ちゃーん…。ただ、

『ただいま』と、言おうとしたときだった。

空:お姉ちゃぁん！早く！早く来てぇっ！お兄ちゃんがぁっ!!!!

空の悲鳴に似た声が家中に響いた。

凪沙:っ空!?

私は、急いで靴を脱ぎ、リビングへ向かう。

リビングには。

空:お姉ちゃん…、どうしようっ！

涙をポロポロ流している空と。

凪沙:っ救急車！空はお父さんに電話して！

恐らく吐血したのだろう。口が血だらけの、

お兄ちゃんがいた。

どうか……、どうか、無事で…！→←私は変わらない。彼等は変わる。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す