海王に来た１人の少女…。4

お父さんの愛情。 ページ3

海、航一郎へ。

手紙、初めてお前達に書くな。
なんだか、恥ずかしい。

だけど、この手紙は最初で最後の手紙だ。

本当にすまない。
いや、すまないって簡単に言ってすむことではない。

本当に、後悔している。
お前達を苦しめたこと。お前達に、手をあげてしまったこと。

お前達の、良い父親になれなかったこと。

海。お前は立派だ。
今でも驚いているよ。こんな両親からお前のような立派な娘が産まれてくるなんて。

まさに、カラスが鷹を産む。だな。合っているか？

でも、本当にそうだと思う。

お前は私達の誇りだ。

そして、航一郎。

航一郎にも、手をあげてしまった。
本当にすまない。

航一郎は、ずっと、姉ちゃんの言うことを聞いていた。たとえその内容が不満でも。

小学校の入学式の時、涙が出そうだった。
こんな私が涙を流して良いはずが無いって思って泣かなかったが。

お前も誇らしく成長した。

お前達は誇らしく成長したのに、私はお前達に父親らしいことを１つもしていない。

だから、最後に1つだけ。

私達はきっと、もうお前達に会えない。
それは、お前達を守るためだ。

ありがとう、そして、愛している。

私達の元に産まれてくれて本当にありがとう。

父より。

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