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『…ここね。』
薄暗い裏路地を彷徨い続けて数時間。ようやく手下達の拠点をみつけた。
古い木製のドアに血のような真っ赤な字で「Dead・Devil」と書かれてある。
[結構大胆に書いてあるな。なんで見つけるのに時間かかったんだ?]
『仕方ないじゃない、ここの島の裏路地が広かったんだから。』
途中、チンピラ共に絡まれたりナンパ野郎に絡まれたりと散々だった。クロに変わった途端、ビビった男達は逃げたらしいけど。
人格が完全にクロになると、私は全く記憶がない。冒頭の通り、我に帰れば血の海の中心に佇んでいることが多い。
まぁ、トラウマになりかねないから記憶が全くなくなるのはありがたいけど。
ドアに手をかけ、内側に押すとギィッと音をたてた。薄暗い部屋の中には誰もいない。
机や椅子は乱雑に置かれ、部屋は散らかり放題。泥棒が入ったあとのようにみえる。
開けっ放しの引き出しの中やタンスを調べていると、デビルからの手紙の束をみつけた。
『不用心ね。』
[お前もな。罠の可能性を考えていないだろう。]
『一人残らず殺したのでしょう?』
[1人残っているかもしれないだろ。周りの気配に気を配れ。]
『だったらクロ変わってよ。』
[バカ、俺が動くと記憶消えるんだろ。自分の手で探せ。]
『…分かった。』
部屋の中を一通り調べたが、デビルからの手紙以外何も見つからなかった。
『まあ、十分よね。』
私は手紙の束をカバンの中に入れ、拠点を後にした。
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作者名:ゆー | 作成日時:2017年12月21日 17時