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「……なに、急に。」
「俺、ちゃんと虫歯治すから、」
「……俺とキスしてくれって言いたいの？」
そう言うと、くるまさんはこくりと頷いた。私は何の迷いもなく真っ直ぐこちらに向けられた目線と文字通り目の前にある顔に少々狼狽えながら、次の言葉を探すくるまさんをじっと見つめていた。
「可愛いね、直樹さん。」
「……。」
思わず溢れ出した言葉に、くるまさんは押し黙った。先ほどまでがっちりと私の目を捉えていた視線は、今は私の右後方に逃げてうろうろとしている。
「ああもう、」
じれったいなあ、と言いながら、わたしはくるまさんの両頬をそっと持ち上げ、自分の顔にグッと近づけた。
そしてそのまま、優しく、そっと口付ける。
一瞬触れただけの子供の遊びのようなキスだったが、くるまさんは静かに顔を赤らめていて。そんなところも可愛いなあ、と火照った頬を見ながら思った。
「ずるいって、そんなん。」
「べつに何もずるくないでしょ。……はやく、予約の時間なっちゃうよ。」
時計を見ると気づけば予約の時間の30分前になっていた。いくら近所にある歯医者とは言えど、そろそろ準備しないと間に合わない。
「うわ、まじ……。」
くるまさんはそそくさと服を着替え、歯を磨いた。大きなくるまさんの背中がいつもよりもすこしだけ小さいような気がした。
「……ねえ。」
コートまで着てあとは家を出るだけのくるまさんは言う。
「ん、なーに。」
「帰ってきたらさっきの続きするからね。」
「……頑張って治してくるんだよ。」
「あ、照れた？可愛いなあ、もう。」
「うるさいなあ、別に照れてないから。……ほら、早く行ってきなさい。」
「はーい。」
騒がしさの根源は消え、リビングには静寂が訪れた。
やっと落ち着ける、ともやっぱちょっと寂しいな、とも思いながら、私は洗濯物をたたむのを再開した。
いつもより、さっきより体温が上がった気がして、体調でも悪いのかしら、と自分自身に言い聞かせるように誰もいないリビングに呟く。
赤くなった顔をくるまさんに見られてはいないだろうか。そう心配しながら、末端冷え性の手を頬に添えた。
セミダブル、いざなう / ono.r→←C2埋めるはあなたの愛 / takahira.k
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うた(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませていただいてます。リクエストなのですが、ピュートの竹内さんで甘めのお話って書いて頂けますかね？いくらでも待つので書いてくださると嬉しいです！無理でしたら全然大丈夫です！ (2023年2月12日 0時) (
レス) id: db6601ed95 (このIDを非表示/違反報告)
いたう(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。nkさんのお話素敵で最高でした！また書いていただけたら嬉しいです！また、kvnsのnkさんの相方（どう名前を書いたらいいかわかりません…）も書いていただけたら嬉しいです。これからも応援してます！ (2023年1月20日 8時) (レス) id: 708642bb4e (このIDを非表示/違反報告)
海松(プロフ) - コメント失礼します。kvns及びnkさんのファンで何度かリクエストをしようか迷っていたので、素敵なお話が読めてすごく嬉しいです🥲よろしければまた書いていただけるとうれしいです、応援してます！ (2023年1月20日 3時) (レス) id: 731bca10c5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾈﾙﾈﾙﾈﾙﾈ(プロフ) - リクエスト失礼します…💦ｼｿﾝﾇのお2人と、ﾆｯ社のお2人それぞれ1人ずつのお話お願いしたいです…！！いつもいいお話ありがとうございます🥰 (2023年1月17日 0時) (レス) id: a47536dbc7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾃﾝﾌﾟﾗ衣 - はじめまして！リクエスト失礼ます💦 トットの多田さんでお話かけますか？？お願いします🥺更新頑張ってください❤️🔥 (2023年1月13日 18時) (レス) @page22 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あこ | 作成日時：2022年12月14日 19時
